東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は3日ぶりに反落となりました。13円安の38,473円で寄り付いた日経平均は下げ渋るとプラスに転じ9時40分前に68円高の38,555円まで上昇しましたが、節目の38,500円を上回ったところで伸び悩むとマイナスとなり11時20分前には205円安の38,281円まで下落しました。しかし、その後下げ渋ると14時40分前に10円安の38,477円まで戻し結局16円安の38,470円で取引を終えています。一方でTOPIXが上げたほか、新興市場も高く東証グロース市場250指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
ソフトバンクグループ(9984)が一時3.2%高となりました。孫正義会長兼社長が米エヌビディア[NVDA]に対抗して人工知能(AI)向け半導体を供給する新会社の設立を検討していると伝わったことを材料視した買いが入りました。三菱重工業(7011)も一時4.7%高となり昨年来高値を更新しました。17日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同開発した次世代基幹ロケット「H3」2号機の打ち上げに成功したことを好感した買いが入りました。アウトドア用品大手のスノーピーク(7816)も17.9%上昇しストップ高となりました。MBO(経営陣が参加する買収)のため米投資ファンドのベインキャピタルと組んでTOB(株式公開買い付け)を実施すると伝わったことで買いを集めました。三菱鉛筆(7976)も一時22.4%高となり昨年来高値を更新しました。欧州を中心にサインペンの「ポスカ」の販売が好調だったことなどにより2023年12月期の営業利益が前期比で28.2%増となったほか、2024年12月期の営業利益が中期経営計画で掲げていた水準を上回る見込みとなったこともあり大幅高となりました。三井住友建設(1821)も一時13.9%高となり昨年来高値を更新しました。旧村上ファンド系の南青山不動産などが三井住友建設株を買い増したことが関東財務局に提出した変更報告書で明らかとなったことで上げ幅を広げました。サカタのタネ(1377)も一時9.7%高となりました。固定資産売却益を特別利益に計上することから80億円とみていた2024年5月期の純利益の見通しを155億円に上方修正したことや、自己株式を除く発行済株式総数の1.13%にあたる50万株、20億円を上限とする自社株買いを発表したこともあり買いが優勢となりました。一方で任天堂(7974)が一時8.8%安となりました。今年後半に予定していた次世代ゲーム機の発売時期を2025年1‐3月期に延期することを任天堂が複数のゲーム開発会社に通達したと伝わったことを失望した売りが優勢となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は16円安となりました。1月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回ったことで早期の利下げ観測が後退し先週末の米国市場が反落したことから売りが優勢となりました。しかし、先週末までの2日間で780円以上上げ、25日移動平均線との乖離率が5.6%超まで広がっていたことからするとスピード調整とみることもできそうで、下げ渋ったことから1989年12月29日に付けた過去最高値(38,915円)への期待は引き続き高いといえそうです。なお、今晩の米国市場はプレジデントデーの祝日で休場です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)