日本株が絶好調です。年初来の1か月半で上昇率は13%。1月だけで8.4%上昇しています。この上昇率は2000年1月以来の月間上昇率のトップ5%に入ります。
ここまで上がると、どこかで暴落しないか、不安になるのではないでしょうか。少なくとも「高所恐怖症」の私はそうです。では、暴落があるとすればいつなのか…。
相場の急激な上昇の時には、株価のバリュエーション以上に市場全体のセンチメントの見極めが重要になります。その点、今はまだ市場のセンチメントは十分強いと感じます。例えば、全米個人投資家協会が毎週発表する個人のセンチメント指数は「強気」の比率が49%と高い水準が続いています。もう一つ、注目されるのが暗号資産市場です。暗号資産にはファンダメンタルズ(本源的価値)が殆どないため、市場のセンチメントが現れやすいと考えられています。半減期期待も多少はありますが、先月の現物ETFの解禁後も上昇を続けています。
いずれも日本株固有の指標ではありませんが、世界の株式市場の連動を考えると、これらの指標は代表的な市場センチメント指数として押さえておきたいところです。もしこれらの指標が弱くなり始めたら、少し警戒感を持った方がよいかもしれません。
もっとも、多少弱くなったからといって、売り急ぐ必要はないでしょう。株式バブルの走りとされる18世紀の英国南海会社株も、1990年以降の日経平均も、2018年のビットコインも、過去の暴落時のペースは、上昇時よりは遅いという特徴があります。市場が過去の価格に未練を残し、再び上昇に転じるかもと買いの手が入るため、などと考えられています。いずれにしても、既に日本株にエクスポージャーをお持ちの方々なら、足元の変動には過度に反応せず、市場のセンチメントを注意深く見守るのが得策ではと思います。
- 大槻 奈那
- ピクテ・ジャパン株式会社 シニアフェロー
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内外の金融機関、格付機関にて金融に関する調査研究に従事。Institutional Investors誌によるグローバル・アナリストランキングの銀行部門にて2014年第一位を始め上位。政府のデジタル臨時行政調査会、財政制度等審議会委員、規制改革推進会議議長、中小企業庁金融小委員会委員、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のアドバイザー等を勤める。日本経済新聞「十字路」、日経ヴェリタス「プロの羅針盤」、ロイター為替フォーラム等で連載。日経Think!エキスパート・コメンテーター、テレビ東京「モーニングサテライト」で解説。名古屋商科大学大学院 マネジメント研究科教授 東京大学文学部卒、ロンドンビジネススクールMBA、一橋大学博士(経営学)
著書:
『本当にわかる債券と金利』(日本実業出版社)、
『1000円からできるお金のふやし方』 (ワニブックス)
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