東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は大幅に3日続伸となりました。350円高の37,248円で寄り付いた日経平均は9時30分過ぎに737円高の37,634円まで上昇した後一旦伸び悩む場面もありました。しかし、前引けにかけて上げ幅を広げると901円高の37,798円で前場を終えました。前引けとほぼ変わらずの901円高の37,799円でスタートした後場の日経平均はさらに上げ幅を広げ大引け間際に1,113円高の38,010円まで上昇すると結局1,066円高の37,963円で取引を終え昨年来高値を更新しています。こうしたなか新興市場も高く東証グロース市場250指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
第3四半期決算を発表した東京エレクトロン(8035)やリクルートホールディングス(6098)が買われました。東京エレクトロンは中国で非先端分野の半導体投資が想定以上に強いことなどにより4010億円とみていた通期の営業利益の見通しを4450億円に上方修正したことから13.3%高となり上場来高値を更新し、日経平均を1銘柄で400円近く押し上げています。リクルートホールディングスも新型コロナウイルス禍からの経済活動の再開が本格化し、旅行予約などの国内事業が好調なことから2024年3月期の営業利益が前期比18.2%増の4070億円となる見通しを示し、市場予想を上回ったことで一時8.9%高となり昨年来高値を更新しています。同じく第3四半期決算を発表したDOWAホールディングス(5714)も一時10.2%高となり昨年来高値を更新しました。第3四半期9ヶ月間累計の営業利益は前年同期比で38.3%減となりましたが、第3四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で25.7%増と増益に転じたことで買いが優勢となりました。本決算を発表したアシックス(7936)も14.6%上昇しストップ高となりました。付加価値の高い高価格帯の製品の販売が日本や東南アジアなどで伸びていることなどから2024年12月期の営業利益が前期比で7%増となる見通しを示したことに加え、自社株買いを発表したこともあり買いを集めました。ソフトバンクグループ(9984)も一時11.0%高となり昨年来高値を更新しました。決算を好感した買いで昨日の米国市場で傘下の英半導体設計大手のアーム・ホールディングス[ARM]が29%を超す上昇となったことで大幅高となりました。
一方で第3四半期決算を発表した日揮ホールディングス(1963)が一時23.2%下落しストップ安となり昨年来安値を更新しました。国内のバイオマス発電所やタイの化学プラントの工事が遅延し採算が悪化することなどから380億円とみていた通期の営業利益の見通しを160億円に下方修正し一転して減益予想となったことで売りが膨らみました。大塚ホールディングス(4578)も一時10.9%安となりました。認知症行動障害治療の新薬のフェーズ3試験において主要評価項目で統計学的な有意差が認められなかったことなどにより減損損失を約1150億円計上することなどから2023年12月期の営業利益の見通しを2450億円から1390億円に引き下げたことで大幅安となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は1,066円高となりました。先週末の米国市場でS&P500株価指数が初めて5,000ポイントの大台に乗せ史上最高値を更新したほか、昨日の米国市場でもダウ平均が史上最高値を付けたことから大幅高となり、節目の38,000円を1990年1月以来34年1ヶ月ぶりに上回る場面もありました。そのため1989年12月29日に付けた過去最高値(38,915円)更新への期待も一気に高まることになりそうです。なお、3月決算企業の第3四半期決算発表や12月決算企業の本決算発表が続いています。本日も引け後にはアサヒグループホールディングス(2502)やJT(2914)、出光興産(5019)、SMC(6273)、シマノ(7309)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の22時30分には1月の米消費者物価指数(CPI)が発表される予定で注目を集めそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)