米ドル／円 週間予想レンジ：146.50～150.50

メインストラテジー：レンジ上限の一旦拡大の可能性

・先週の米ドル／円相場は値幅を限定しながら、底堅く推移
・日本株との連動でしばらく強気の変動か
・レンジの上限拡大で150円半ばの打診も

【図表1】米ドル／円（日足）
出所：筆者作成

アナリシス：

先週の米ドル／円相場は値幅を限定しながら、底堅く推移した。先々週の勢いを継承する形なら、途中の「一服」とみなされ、目先はなお上値の余地を示唆する。先々週続伸し、一旦148.82円までトライをし、基調の改善を一段と図ったのであり、上限の拡大をもたらしたことは先週のコラムで指摘した通り、その一環または途中と位置付けされるであろう。

2024年年初に起こった能登半島地震など災害の影響が、日銀の金融緩和政策の早期修正という思惑を大きく後退させ、米ドルの切り返しをもたらした。先々週はモメンタムの加速も見られ、先週は値幅の限定があったが、しばらくは上値余地の拡大を想定する、といった判断は変わらず。

まず日銀の早期政策修正観測は、一部の市場関係者らの憶測に過ぎなかった。そのため、米長期金利の下げ止まりが米ドルの切り返しをもたらす要素と認定され、2023年末に米ドル／円は、一気に140円に迫った。これは米ドル安自体の「行き過ぎ」もあり、それに対する修正がなお続いている、という認識が重要であろう。

更に、底割れを回避した影響はやはり大きかったといえる。200日移動平均線以上を維持し、また同線より距離を保つところで、基調の改善を示唆する。先々週の大陽線があって、短期スパンに限定するという前提条件をつけても、やはり上値余地が一段と拡大する可能性もあるだろう。

先々週大幅続伸をしたことは、完全にブルトレンドへの復帰がないとしても、当面は上値余地が拡大する可能性を示唆する。先週「一服」があったからこそ、今週はトライしやすいだろう。

もちろん、2023年の高値を起点とした下落変動自体を本物とみなし、また切り返しの継続があってもあくまで途中での速度調整に過ぎないが、性急な戻り売りは避けたい。総合的に見ると、やはり心理的な大台である150円台の打診は覚悟しておきたい。場合によっては150円半ば程度までの打診もあり得るだろう。

より長いスパンでフォローするなら、やはり再度頭打ちの可能性を重視し、無闇な高値追いはできないのではないか。2023年11月13日の高値更新自体が「フォールス・ブレイクアウト」、すなわち「ダマシ」だったとも考えられる。2022年と異なり、日銀の為替介入なしのトップアウトはより蓋然性があり、また支配力のあるサインであった。

従って、数年スパンでのトップアウト、または短期スパンの保ち合いがあってもベアトレンドを否定できず、しばらくは200日移動平均線の支持があっても、その上での定着が長期に渡って維持できないだろう。目先上目線でも、頭打ちのリスクを同時に意識しておきたい。

豪ドル／円 週間予想レンジ：97.00～100.00

メインストラテジー：今週も上値を追う展開か

・レンジ継続でも底堅く推移する動き
・煮詰まりつつある上放れのサイン
・ドル／円次第の上値余地

【図表2】豪ドル／円（日足）
出所：筆者作成

アナリシス：

豪ドル／円相場は先週陰線で大引けしたものの、基調を維持していた。先々週の切り返しが値幅こそ限定的だったものの、堅調な推移を保ち、先週の再反落が一見すると弱気のような値動きだが、連続性でみればむしろ上放れの前兆と捉えられる。繰り返し指摘してきたように、豪ドル／円は上放れの志向が強く、これからブレイクする、というサインが再三に渡って点灯していたから、強気の見方は変わらない。

2023年12月7日に急落し一旦94円を割り込んだのは、米ドル／円の波乱につられた値動きだった。しかし大きく反落したため基調が一旦「崩れ」、回復に時間がかかると思われたが想定より早期に回復し、また高値圏にて保ち合いのレンジを形成していたのが大きな判断基準となった。

2023年12月7日の急落があっても弱気トレンドへ転換と考えず、あくまで中段保ち合いの再拡大や再延長であり、200日移動平均線を維持している限り、高値圏での保ち合いを有力視したのも正解であった。

実際、2023年12月7日以降、12月18日までは値幅が限定的であり、12月7日の大陰線と「インサイド」のサインを形成していた。従って、2023年12月19日の大陽線は「インサイド」の上放れとなり、地合いの改善を示唆していたため想定より早い回復となった。先々週と同様、先週も一旦98円関門に接近しており、上放れの可能性を増大させていた。

先週は2023年年末の高値更新と同様、高値トライがあっても上に定着しない可能性があり、それはモメンタムの低下を暗示し、上放れするまでなお時間がかかることも指摘していた。そのため、先週の反落をその一環とみなし、今週豪ドル／円次第、モメンタムが拡大していく可能性がある。

つまりレンジの上限に再三トライし、またすでに同じく再三のブレイクも果たしたため、上放れも時間の問題であり、今週上値追いの可能性が大きいだろう。強気スタンスを維持していきたい。