モトリーフール米国本社、2024年1月21日 投稿記事より

主なポイント

・バークシャー・ハサウェイとアーク・インベストメントはどちらもアマゾン・ドットコムに投資している
・アマゾン・ドットコムにはAIのリーダーとして長い歴史がある
・利益は急増しており、クラウド事業には飛躍的成長が見込まれる

アマゾン・ドットコム[AMZN]は投資家にとって賢い選択かもしれない

ウォーレン・バフェット氏とキャシー・ウッド氏は、著名な投資家という点でこそ共通していますが、投資スタンスは両極端です。多くの銘柄について、バフェット氏とウッド氏は異なる見解を持っています。しかし、1つだけ特筆すべき例外があります。2024年の年初時点で両者がともに保有している、唯一の人工知能(AI)銘柄を紹介します。

持ち分は小さいがウッド氏とバフェット氏の両者が共通して保有している銘柄とは

ウッド氏が率いる資産運用会社アーク・インベストメント・マネジメント(以下、アーク社)のポートフォリオは、多くのAI銘柄であふれています。ウッド氏が何年も前からAIを積極的に支持してきたことを考えれば、驚くことではありません。一方、バフェット氏は違います。伝説的投資家であるバフェット氏は、自身が精通している銘柄にしか投資しないことで知られています。AIは明らかにこの条件に当てはまりません。

ところが、両者が共通して保有しているAI銘柄が1つだけあります。ただし、両者の持ち分は決して大きくはありません。

アマゾン・ドットコム[AMZN]は、バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ[BRK.B]のポートフォリオの0.4%を占めています。バークシャー・ハサウェイは2019年に初めてアマゾン・ドットコムに投資しました。当時、バフェット氏はアマゾン・ドットコムへの投資は、社内の2人の投資マネジャーのうちの1人が決めたことだと認めました。とはいえ、バフェット氏もアマゾン・ドットコムを気に入っており、「前からこの会社のファンだったが、株を買わなかったのは愚かだった」とCNBCに語っていたこともあります。

ウッド氏が保有するアマゾン株は、さらに小規模です。また、アーク社が運用する、AIに焦点を当てた上場投資信託(ETF)のどれにもアマゾン株は組み入れられていません。その代わり、アマゾン・ドットコムは、アーク・スペース・エクスプロレーション&イノベーションETFに組み入れられています。どうやら、アマゾン・ドットコムが進める衛星ブロードバンドネットワークプロジェクトの「プロジェクト・カイパー(Project Kuiper)」がウッド氏の目に留まったようです。

アマゾン・ドットコムのAIストーリー

アマゾン・ドットコムはAI業界の新参者ではなく、20年以上も前からAIを開発し、活用してきました。

同社のEコマースプラットフォームに使われているアルゴリズムには、至る所にAIが搭載されています。例えば、ユーザーの買い物画面におすすめ商品が示されるのは、AIの働きです。また、最近では、買い物客からの商品についての質問に答える生成AIツールを発表するなど、AIに関する取り組みを強化しています。

アマゾン・ドットコムが、バーチャルアシスタントのAlexaを発表したのは2014年のことです。今ではAlexaは、スマートスピーカーのEcho、映像出力機器のFirestick、電子書籍リーダーのKindle Fireといった各種デバイスに組み込まれています。

しかし、アマゾン・ドットコムにとってさらに大きなAI導入の機会は、クラウドサービスプラットフォームのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)にあります。アンディ・ジャシーCEOは2023年第3四半期決算発表の際、AWSがAIの分野で大きな勝者になる可能性がある理由について、次のように述べました。

顧客はAIモデルを自身のデータに取り込みたいと考えており、その逆ではありません。そして、そのデータの多くは、クラウドインフラにおける明らかな市場リーダーであるAWS上にあります。

アマゾン・ドットコムは投資家にとって賢い選択なのだろう

バークシャー・ハサウェイは、2023年第3四半期にアマゾン株の保有を少し減らしました。アーク社は数ヶ月前のレポートで、アマゾン・ドットコムのような超大型AI関連株よりも、中小の新規参入企業を選好する意向を明らかにしました。しかし、今、アマゾン株に注目する理由はいくつかあります。

アマゾン・ドットコムの利益は大幅に改善しています。経営陣は利益を増やすことに注力し、業務全般の合理化に取り組んできました。こうした努力は実を結び始めており、第3四半期の利益が前年同期比で3倍超に増加したことに表れています。

ジャシーCEOは以前、世界のIT支出の90~95%は依然としてオンプレミスに充てられており、残りはクラウドであると述べました。同氏は、この数字が今後10~15年で逆転すると考えています。実際にそうなれば、AWSは将来的に飛躍的な成長が見込まれます。

さらに、アマゾン・ドットコムは新たな市場への進出を模索し続けています。2023年だけでも、サプライチェーン管理サービスを立ち上げ、プライム会員向けに初期診療サービスを開始し、オンラインで自動車を販売する計画を発表しました。今後もさらなる事業拡大が期待されます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケット元CEOのJohn Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Keith Speightsは、アマゾン・ドットコム、バークシャー・ハサウェイの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアマゾン・ドットコム、バークシャー・ハサウェイの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。