期末の配当落ち後の株価水準に注目

このコラム執筆時点で年内の取引も残すところ3日となりました。残りの3日間で日経平均は年初来高値を更新できるかに注目が集まりそうですが、と同時に注意すべき点もあります。

それは12月決算銘柄の配当落ちです。12月決算銘柄の配当を受け取る権利が確定する日は12月27日になりますが、その翌営業日となる12月28日には予想配当分が日経平均株価から差し引かれます。

その目安になるのが、現在取引されている日経平均先物3月限の価格です。日経平均先物3月限の取引期限は2024年3月7日までになりますが、12月の配当落ち分が差し引かれた価格になっているため、日経平均より低い値になっています。

そして、日経平均と日経平均先物との価格差がおよそ70円となっており、配当の権利がなくなる12月28日には、この70円が自動的に日経平均株価から差し引かれることになります。5日移動平均線より70円以上上回っていないと、日経平均が横ばいでも自動的に70円分差し引かれ、5日移動平均線を下回ることが考えられるため注意が必要になるのです。

そのため、残り3営業日における注意点としては、配当落ちで5日移動平均線を下回って戻せなくなるかが注目ポイントになります。

仮に配当落ち後も日経平均が5日移動平均線上を維持するようですと、反発が継続しそうですが、逆に配当落ち分よりも株価が下落して5日移動平均線上を維持できずに割り込むようですと、接近する25日移動平均線も下回ることが考えられるため、もち合い相場の継続や75日移動平均線に接近することも視野に入れ、年末年始の株価動向を考える必要があると言えます。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※ 移動平均線は5日、75日、200日を表示

モメンタムの低下に要注意

続いて、上昇と下落の勢いを示すモメンタムについてです。12月26日時点のモメンタムは、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを上回っていますが、水準が切り下がっているのが分かります。また、水準も0ラインに近づいています。

そのため、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が上昇に転じるかが年末年始の注目ポイントになりそうです。

仮に2本線が上向きに変化して上昇するようですと、日経平均も5日移動平均線上を維持することが期待される反面、2本線が上昇しても限定的だったり、低下して0ラインを割り込んで戻せなくなったりするようですと、5日移動平均線と接近する25日移動平均線を一気に下回ることも考えられますので注意が必要です。

また、モメンタムも配当落ち分の価格が反映されることになるため、権利落ち日となる12月28日に配当落ち分の70円を上回る上昇が発生しないとモメンタムの低下が考えられることになり、上昇の勢いの低下に繋がることも考えておかなければなりません。

このような期末特有の値動きを念頭に入れ、年末年始の株価動向を考えるようにしたいところです。