12月19日の日銀の金融政策決定会合を通過し、ようやく金融市場も年の瀬モードに入った気がします。オフィスにある共用スペースも急に人影がまばらになりました。
植田日銀総裁の記者会見は、今月初旬から高まったマイナス金利解除の期待を打ち消そうとするかのようなハト色が強い会見でした。しかし、来年前半のマイナス金利脱却の可能性は依然として十分高いと考えます。その場合、10年国債利回りが1%前後まで上昇する可能性も排除できないでしょう。
思い起こせば2016年のマイナス金利導入時は、2014年の消費税増税の影響等で景気が鈍化し、インフレ率も、増税影響を除けばゼロかややマイナスという状態が続いていました。一方現在は、まだ持続性が見極められないとはいえ、2%を上回るれっきとしたインフレが続いています。多面的な観点を考える必要があるにせよ、世界唯一のマイナス金利は、円安や住宅価格の高騰などの副作用を生んでいることも忘れてはならないでしょう。
では、マイナス金利が解除された場合、株式市場にはどんな影響があるのでしょうか。通常であれば金融引き締めは企業の利益にネガティブです。しかし、日本の場合、これまで進まなかった企業の新陳代謝を活発化し、資産効率を改善し、過度な価格競争を和らげる可能性があるでしょう。日本の金融市場は他国とは大きく異なります。インフレも利上げも人手不足も、他国では市場の不安定材料となっていますが、日本にとっては構造改革を促す好機となりえます。来年マイナス金利が解除され、市場が多少でも動揺するタイミングがあれば日本市場には絶好の投資機会が訪れるのではと思います。