モトリーフール米国本社、2023年12月3日 投稿記事より

主なポイント

・ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイは、集中型ポートフォリオの運用で大きな成功を収めている
・ほとんどの投資家は、過度に集中した株式ポートフォリオの構築は避けた方が良い

ポートフォリオの分散は有益なツールになり得るが、伝説の投資家として大成功しているウォーレン・バフェット氏は分散投資を好んでいないと考えられる

投資ポートフォリオの保有銘柄を分散することは、ほとんどの投資家にとって有益なツールとなり得ます。ポートフォリオを分散する戦略は、バスケットの中に多くの卵を入れ、それぞれの勝者が花開いたときにリターンを得る可能性を残しています。しかし、分散投資は万人に有益というわけではないようです。

バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]のウォーレン・バフェットCEOは、資金を多くの投資先に分散し過ぎるのは賢明でないと考える1人です。オマハの賢人と呼ばれる同氏は分散投資を「無知に対する防御」と表現していますが、同氏の驚くべき実績を見れば、バフェット氏が無知でないことは明らかでしょう。

バフェット氏のポートフォリオ構成に対する超集中型アプローチは、多くの投資家には向いていないかもしれませんが、バフェット氏には長年にわたって確実に成果をもたらしてきました。以下では、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの57.1%を占める2銘柄について紹介します。

バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの約48.6%がアップル株

アップル[AAPL]は世界で最も革新的な企業の1つであり、それがバフェット氏を魅了する理由の1つであることは間違いありません。また、アップルは他に例を見ない強固なエコシステムを構築しています。本稿執筆時点において、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの約48.6%がアップル株に投資されています。

アップルは、多くの投資家が関心を寄せる価値のある、優れた企業です。売上高は2014年の1,830億ドルから、2023年は3,830億ドルに増加しています。さらに、アップルのブランド認知度と顧客との強固な関係により、同社はiPhoneを主力とした製品ポートフォリオにプレミアム価格を付けることが可能になっています。当然ながら、高い価格には高い利益が伴うものであり、その点でもアップルは成功を収めています。営業利益は、上記と同期間に530億ドルから1,140億ドルに増加しています。

バークシャー・ハサウェイがポートフォリオの半分近くをアップルに投資しているのは驚くべきことです。ほとんどの投資家にとっては、複数の銘柄に分散投資するのがベストでしょう。

バフェット氏のようなプロが集中ポートフォリオを運用しているのは驚くことだと思います。一般の個人投資家には、「真似をしないでください」と言ったほうがいいでしょう。集中投資は、バフェット氏のように経験豊富なベテランの運用マネジャーであればうまくいくかもしれませんが、一般の個人投資家であれば、分散投資の利点を無視するのは得策ではないと思います。

バンク・オブ・アメリカはバフェット氏にとって勝ち組銘柄の1つ

バンク・オブ・アメリカ[BAC]は、バークシャー・ハサウェイにとってここ10年間で最大の勝ち組銘柄の1つですが、バフェット氏とバンク・オブ・アメリカの間には少々複雑な関係があります。バークシャー・ハサウェイがバンク・オブ・アメリカに初めて投資したのは2007年で、ちょうど大規模な金融危機が勃発した頃でした。

2010年第4四半期までに、バークシャー・ハサウェイはバンク・オブ・アメリカ株をすべて売却しました。当時のバンク・オブ・アメリカは、グレート・リセッションとサブプライムローン問題の影響が長引いており、さらに、マクロ経済全体の見通しや米国の債務上限引き上げの見通しといった懸念に関連した追加リスクにも直面していました。

ところが、バフェット氏はバンク・オブ・アメリカ株に対して心変わりしました。同行は、流動性不足のリスクを回避するために資本注入が必要になる可能性があり、バフェット氏は、バンク・オブ・アメリカの財務基盤を強化するための取引を同行のCEOに持ちかけたのです。バークシャー・ハサウェイは最終的に、2011年にバンク・オブ・アメリカの優先株50億ドル相当を購入したほか、1株当たり7.14ドルの行使価格で普通株7億株を購入できるワラントを確保しました。

それから約6年後、バークシャー・ハサウェイはワラントを行使しました。当時、バンク・オブ・アメリカの株価は24ドルを上回っており、バークシャー・ハサウェイはワラントを行使したのと同時に莫大な利益を手にしたことになります。

現在、バンク・オブ・アメリカの株価は29.50ドル付近で推移しており、バークシャー・ハサウェイがワラントを行使するのに支払った価格に対して4倍以上に上昇しています。さらに良いことに、バンク・オブ・アメリカは財務基盤の改善と共に、過去10年間で大幅に増配しており、バークシャー・ハサウェイが得るトータルリターンはさらに高いものとなっています。

バンク・オブ・アメリカは、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの8.5%を占め、2番目に大きな保有銘柄です。バークシャー・ハサウェイはバンク・オブ・アメリカの株式の約13%保有していますが、オマハの賢人が今後数年間でポジションを買い増す可能性もあるでしょう。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。バンク・オブ・アメリカは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。元記事の筆者Keith Noonanは、記載されているどの企業の株式も保有していません。元記事の筆者Parkev Tatevosian(CFA)は、アップルの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアップル、バンク・オブ・アメリカ、バークシャー・ハサウェイの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。