一時33年8ヶ月ぶりの高値水準をつけたものの維持できず

前回のコラムでは、「短期的なトレンドのもち直し」と「終値が切り上がっていること」について解説しました。また、これらの値動きを踏まえ、「11月15日時点では33,000円に届いていませんが、今後上回る可能性が継続していると考えられそうです」とも解説しましたが、11月15日に窓をあけて上昇すると、そのまま一気に水準を切り上げ、指摘した通り33,000円台に乗せて終えているのが分かります。

さらに11月20日には、2023年6月19日につけた取引時間中の高値33,772円89銭を一時上回り、およそ33年8ヶ月ぶりとなる33,853円46銭をつける場面がありましたが、株価を維持できず、結局上ヒゲ陰線を形成して反落する結果となりました。

そして翌営業日の11月21日も続落となり、前日まで上回っていた上向きの5日移動平均線をわずかに下回って終えています。

ここで注目すべき点は、「11月20日の上ヒゲの発生や伸び悩みが事前に予想できたか」と言うことになるのではないかと思われます。そこで注目されるのがモメンタムの推移です。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※ 移動平均線は5日、75日、200日を表示

モメンタムのピークアウトが先行して発生

モメンタムについても前回のコラムで「モメンタムとシグナルがこのまま上昇を続けることができるかが注目ポイントになりそうです。仮にこのまま上昇が続くようですと、33,000円台を回復して維持することが期待されます」と解説しましたが、モメンタムの上昇が続いたことから、上昇の勢いが強まり、解説した通り33,000円台を回復する結果となりました。

一方で、11月15日に33,500円台に乗せたところまでモメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が上昇していましたが、株価は11月17日に終値ベースの高値を更新したにも関わらず、モメンタムとシグナルは11月16日から低下しているのが分かります。

また、モメンタムの水準を見ますと6月14日のピークの水準に達した後、株価が終値ベースの高値をつける前に低下し始めており、先行指標として機能していたと言えるのではないでしょうか。

このように、株価が高値を形成する過程で11月20日に上ヒゲを形成しましたが、その前にモメンタムが低下し始めており、これまで何度も解説した「逆行現象」が既に発生していたことから、株価の目先の天井が近いと判断できたわけです。

では、直近のモメンタムはどのような動きになっているのでしょうか。11月21日時点の株価は上向きの5日移動平均線をわずかに下回っていますが、モメンタムは上向きに変化しており、ピークアウトした上昇の勢いが盛り返そうとしているのが分かります。

そのため、モメンタムとシグナルが再上昇するかが注目ポイントになりそうです。仮に再上昇してピークの水準に達したり、上回ったりするようですと、11月20日の取引時間の高値に接近したり、上回ったりすることが視野に入りそうです。

また、モメンタムとシグナルが下向きに変化して低下するようですと、5日移動平均線を下回ったまま下落が続き、11月14日と15日の間にあけた窓を埋めることが考えられ、押し目買いは控えるか、下げ止まりを確認してから慎重に行う必要があるのではないかと思われます。