陰線と5日移動平均線の関係

前回のコラムでは「株価が5日移動平均線上を維持するようですと、5日移動平均線が75日移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生するとともに、株価のサポートになって33,000円台に乗せることが視野に入りそうです」と解説しましたが、上向きの5日移動平均線を維持したことから5日移動平均線が上昇を続け、75日移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生しました。

ただ、ローソク足を見ますと陰線が多く現れており、売り圧力の強さが見られる状況です。このような陰線が多発する中でも株価は5日移動平均線上を維持しているため、11月13日に5日移動平均線が下向きになる場面がありましたが、11月15日には上向きに変化しており、短期的なトレンドが持ち直していることが分かります。

また、もう1点注目するポイントがあります。それは終値が切り上がっていることです。陰線は売り圧力の強さを示すものですが、終値ベースで見ますと前日の終値を上回る状態が続いており、株価が切り上がっていると考えることができます。

このような状況から、11月15日時点では33,000円に届いていませんが、今後上回る可能性が継続していると考えることができそうです。

一方で、陽線が発生しても5日移動平均線を下回って戻せなくなったり、前日の終値を下回る状態が続いたりするようですと上昇が一旦止まり、75日移動平均線辺りまで下落が続くことが考えられますので、売買タイミングには注意したいところです。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※ 移動平均線は5日、75日、200日を表示

モメンタムが高水準を維持できるか

では、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムはどのように変化したのでしょうか。モメンタムとその移動平均線であるシグナルを見ますと、過去にピークアウトした水準を上回っているのが分かります。

前回のコラムでは、「過去のピークに達していることから、低下への警戒が必要と考えられます」と解説しましたが、過去のピークの水準に達したところでモメンタムが押し返されたものの、その後も上昇が続いて9月4日のピークの水準を上回っています。

特にローソク足が陰線を形成している中でもモメンタムの上昇が続いていることを忘れてはいけません。なぜなら、陰線が多発していてもモメンタムが上昇している間は、上昇の勢いが強まっていると考えられるからです。

このような状況から、モメンタムとシグナルがこのまま上昇を続けることができるかが注目ポイントになりそうです。仮にこのまま上昇が続くようですと、33,000円台を回復して維持することが期待されます。

そこで注目されるのが、6月14日の水準です。この時の水準に到達したり、上回ったりするようですと、9月15日につけた高値に接近したり、上回ったりすることが考えられる反面、この水準に達しても維持できずに低下したり、低下が続いたりするようですと、これまでの上昇の反動から株価は上昇の勢いを失って売り物に押されることが考えられますので、高値掴みには注意する必要がありそうです。

いずれにしても、モメンタムが下向きに変化して低下し始めた時は注意が必要になると思われますので、しっかり確認するようにしたいところです。