上放れへのカギを握る5日移動平均線
前回のコラムでは、下ヒゲを形成した後の株価が下向きの5日移動平均線に押し返されていた場面について解説をしました。そして、その後の日経平均は上向きの200日移動平均線がサポートになり、急上昇する展開となりました。
そのきっかけとなったのが、5日移動平均線を上回ったことです。11月1日に5日移動平均線を一気に上回ると5日移動平均線が上向きに変化し、その後も窓をあけて上昇が続き、緩やかな下向きを続ける75日移動平均線も上回りました。
ただ、3日連続で窓をあけて上昇してきており、これらの窓を埋めるような反落が発生するのか、今後の動きが注目されるところです。
75日移動平均線上を維持して上放れるのか、カギを握るのが5日移動平均線です。株価が5日移動平均線上を維持するようですと、5日移動平均線が75日移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生するとともに、株価のサポートになって33,000円台に乗せることが視野に入りそうです。
一方で、10月16日以降の値動きのように、5日移動平均線を下回って戻せなくなるようですと、5日移動平均線が下向きに変化するとともに、75日移動平均線も下回って31,000円前後まで下落して200日移動平均線に再接近することが考えられるため、5日移動平均線上を維持できるかどうかが上放れるためのカギを握っていると考えられます。
それでは、上昇や下落の勢いはどのように変化しているのでしょうか。
モメンタムの水準に注目
モメンタムを見ますと、前回のコラム時には上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを下回っていましたが、11月2日にモメンタムが0ラインを上回ると、11月6日にはモメンタムの移動平均線であるシグナルも0ラインを上回っているのが分かります。
ただ、11月7日はモメンタムが下向きに変化しており、このまま低下するのか、上向きに変化して上昇するのか、判断が難しいところに差し掛かっていることが分かります。
このような状況になった時に注目したいのがモメンタムの水準です。モメンタムを過去にさかのぼって水準を比較すると、9月6日につけた高水準に達しているのが分かります。このように、過去のピークに達していることから、低下への警戒が必要と考えられます。
仮に低下が続いて0ラインに接近したり、割り込んだりするようですと、5日移動平均線上を維持できずに割り込んで戻せなくなることが視野に入る反面、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が低下しても限定的だったり、上向きに変化して9月6日の水準を上回ったりするようですと、5日移動平均線上を維持して33,000円台を目指すことが考えられそうです。
果たして日経平均は上放れることになるのか、引き続きトレンドとモメンタムに注目し、売買判断に役立てたいところです。