モトリーフール米国本社、2023年11月12日 投稿記事より

主なポイント

・アンプリチュードはミッドジャーニーやキャラクター・ドットAIといった生成AIスタートアップ企業から関心を寄せられている
・ソフトウェア企業のアンプリチュードは、AIブームで大きな勝者となる可能性がある
・マクロ面の逆風が成長の重石となっているが、景気が回復すれば風向きも変わる可能性がある

AIのスタートアップ企業がアンプリチュード[AMPL]に関心を寄せている

2023年、投資家は先を争うように人工知能(AI)関連銘柄に投資しています。

1年前にChatGPTが発表されて以降、投資家は、AI、特に生成AIが次の革新的テクノロジーになると確信しているようです。その可能性に対する熱狂が主な要因となり、エヌビディア[NVDA]やマイクロソフト[MSFT]といったAI銘柄を含むナスダック総合指数は2023年に急上昇しています。

この急成長分野へのアプローチ方法は、マイクロソフトのように生成AIの機能を販売する企業や、エヌビディアのように生成AIが必要とする高性能コンピューティングを実行するための構成要素を販売する企業に投資することだけではありません。

生成AIへのエクスポージャーを得るもう1つのアプローチがあります。「ピックアンドショベル」アプローチ、つまり、急成長中のAI企業が必要とするテクノロジーを提供する企業に投資することです。生成AI企業を顧客に持ち、そうした顧客企業の成長から恩恵を受けるポジションにいる企業の1つが、クラウドソフトウェア企業のアンプリチュード[AMPL]です。同社は、企業が自社のデジタル製品を顧客がどのように利用しているかを把握し、改善方法を考えることを支援しています。例えば、フィットネス機器を手掛けるペロトン・インタラクティブ[PTON]はアンプリチュードを通じて、顧客ロイヤルティを高める上で社会的交流がカギを握ることに気づきました。

アンプリチュードの優位性

アンプリチュードはデジタル製品に特化しており、以前から顧客が自社製品を利用するためのユーザーインターフェースの改善に、積極的に取り組んでいるハイテク系スタートアップ企業に人気がありました。現在、生成AIスタートアップ企業からのアンプリチュードに対する需要が急増しています。

先日発表された2023年第3四半期決算では、生成AI企業2社が新たにアンプリチュードの顧客となったことが明らかになりました。既に広く知られている生成AIモデルのステーブル・ディフュージョンや、オープンAIのDALL-Eのように、AIによる画像生成を手掛けるミッドジャーニーと、ChatGPT。そして同様に大規模言語モデルによるチャットボットを提供するキャラクター・ドットAIです。

ミッドジャーニーはアンプリチュードを利用して、無料ユーザーから有料ユーザーへの転換状況や、人口動態とユーザーの関係を把握したり、ユーザーインターフェースの変更に関するテストを実行したりしています。一方で、キャラクター・ドットAIはユーザーエクスペリエンスの把握と改善に、アンプリチュードの解析ツールや実験ツールを活用しています。

アンプリチュードのスペンサー・スケイツCEOは決算発表の際に、「アンプリチュードは、生成AIの分野で最も規模が大きく、最も聡明で、最も優れている複数の企業から選ばれているプラットフォームであり、競合他社がかなわない方法で彼らのビジネスをサポートしています」と述べました。

スケイツ氏はまた、アンプリチュードがAI企業にとって重要な役割を果たしているとの見方を示しました。なぜなら、AI企業は主にユーザーエクスペリエンスで競い合っており、アンプリチュードが提供する製品データが非常に貴重になるからです。同氏はさらに、AI企業からの需要は大きなトレンドの一部であり、「AIは、これまでに見られた多くの技術革新の1つにすぎません。仮想現実(VR)、暗号通貨、モバイル、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)といったさまざまなイノベーションが生まれてきましたが、これらのカテゴリーが生み出した新しい企業はすべて、最初からアンプリチュードの顧客であり、当初の小企業から我々と共に成長してきました。そして彼らが成長するにつれて、我々も成長しています」と述べました。

顧客と共に成長するアンプリチュードの能力が重要なカギを握っています。

アンプリチュードの現状

11月7日夜に発表された第3四半期決算は予想を上回る内容で、同社はガイダンスを引き上げたにもかかわらず、アンプリチュードの株価は下落しました。

多くのクラウドソフトウェア企業と同様に、アンプリチュードもマクロ面の課題に直面しており、顧客企業の多くが慎重姿勢を強める中、株価のボラティリティも高まっています。ハイテクセクターで見られる人員削減の動きや、景気後退懸念が広がっていることを考えれば驚くことではありません。

スケイツCEOは、2024年下半期には急成長を取り戻すと楽観視しており、利益には既に改善が見られます。2023年下半期の調整後営業利益は黒字となる見通しであり、第3四半期には750万ドルのフリーキャッシュフローを計上し、フリーキャッシュフローマージンは10%を超えました。

さらに、AI業界の爆発的成長が予想される中で、ミッドジャーニーやキャラクター・ドットAIといったハイテク系スタートアップ企業との関係は、同社にとって大きな強みとなり得ます。生成AIツールの普及に伴って、デジタル製品の利用が増加することは間違いなく、アンプリチュードは製品解析のリーダーとして好位置に付けています。

時価総額は10億ドルをわずかに上回る程度ですが、生成AIの波に乗ることができれば、株価上昇の可能性は十分にあるとおもわれます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Jeremy Bowmanは、アンプリチュードの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はマイクロソフト、エヌビディア、ペロトン・インタラクティブの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。