東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は反発しました。2円安の30,694円で寄り付いた日経平均は取引開始から15分弱で144円安の30,552円まで下落しましたが、節目の30,500円を前に下げ渋ると9時50分過ぎにプラスとなりました。しかし、16円高の30,713円で伸び悩むとマイナスとなり47円安の30,649円で前場を終えました。日銀の金融政策決定会合の結果を受けて買いが優勢となり84円高の30,781円でスタートした後場の日経平均は小幅にマイナスとなる場面もありましたが、下げ渋ると上げ幅を広げ13時10分には276円高の30,973円まで上昇しました。その後伸び悩むと昨日の終値近辺まで上げ幅を縮める場面もありました。しかし、引けにかけて持ち直すと結局161円高の30,858円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
上期決算を発表したオリエンタルランド(4661)が一時4.2%高となりました。優先入場できる有料の「ディズニー・プレミアアクセス」の販売などにより客単価が上昇したことや、インバウンドも想定を上回ることなどにより1221億円とみていた通期の営業利益の見通しを1467億円に上方修正したことから買いが優勢となりました。同じく上期決算を発表した日本特殊陶業(5334)も一時7.6%高となりました。半導体不足の緩和による自動車生産の回復で新車向けのエンジン点火プラグの販売が伸びることなどにより965億円とみていた通期の営業利益の見通しを1100億円に上方修正したことから大幅高となりました。日本電気硝子(5214)も一時11.0%高となり年初来高値を更新しました。自己株式を除く発行済み株式総数の8.6%にあたる800万株、200億円を上限とする自社株買いを発表したことから買いを集めました。
一方で上期決算を発表したパナソニックホールディングス(6752)が一時9.9%安となりました。欧州市場でエアコンなどの販売が低迷していることなどにより4300億円とみていた通期の営業利益の見通しを4000億円に下方修正したことから売りが膨らみました。NEC(6701)も一時6.6%安となりました。国内企業向けなどのIT(情報技術)サービスが伸びたことや、通信事業で海外人員を削減し費用を減らしたこともあり上期の営業利益は前年同期比2倍となりましたが、市場予想を下回ったことで大幅安となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は161円高となりました。日銀が本日の金融政策決定会合で長短金利操作イールドカーブ・コントロール(YCC)の再修正を議論すると伝わったことから売りが優勢となり朝方には下げ幅を三桁に広げる場面もありましたが、これまで事実上の上限としていた長期金利の1%を上限の「メド」にすると決めた金融政策決定会合の結果を受けて政策修正に対する過度な警戒感が後退し買いが優勢となりました。しかし、節目の31,000円を前に伸び悩みました。そのため31,000円近辺での上値の重さがやや意識されそうで、明日は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控え様子見になりやすいなかで31,000円を超えてさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。
なお、3月決算企業の上期決算発表が続いています。本日も引け後には三菱電機(6503)やアドバンテスト(6857)、ファナック(6954)、村田製作所(6981)、SCREENホールディングス(7735)、JR東日本(9020)、日本航空(9201)、ANAホールディングス(9202)などが決算を発表する予定です。また、明日は取引時間中の13時55分にトヨタ(7203)が決算を発表する予定で注目を集めそうです。さらに31日の米国ではアドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]やファイザー[PFE]、アムジェン[AMGN]、キャタピラー[CAT]などが決算発表を予定しています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)