CEATEC 2023、今回のキーワードは「次世代」

デジタルイノベーションの総合展示会「CEATEC 2023(シーテック)」が10月17日~20日の期間で、千葉県・幕張メッセで開催されている。

テクノロジーを活用することで、いかに人々の暮らしを豊かにできるかを発信しているCEATECは2000年に第1回が開催され、年々規模を拡大。2016年には「脱・家電見本市」を宣言し、Society5.0の実現を打ち出して「IoT」(どこでもインターネット)」と「共創」を軸に未来の社会や暮らしを描く展示会に舵を切っている。2023年のキーワードは「次世代」。期間中の来場者は10万人を見込んでいる。

新型コロナウィルスの影響で2020年、2021年は完全オンラインで開催、前回はハイブリッド開催だったが、今回はカンファレスを含めて4年ぶりの対面開催となる。

今回のCEATECではデジタル田園都市をテーマに掲げる「パートバーズパーク」、Society5.0の実現に向けたテクノロジーエリア「アドバンストテクノロジーエリア」、電子部品やデバイスの「キーデバイスエリア」など5つのテーマが設けられている。合計684社/団体(前回は562社/団体)が出展する。10月16日にプレスデーが開催され、私もいくつかの企業を取材した。その中から、注目の銘柄をピックアップする。

CEATEC 2023で見つけた、テクノロジーの進化が目覚ましい3銘柄

京セラ(6971)

「CEATEC 2023」では、車道を走る無人自動走行ロボットを展示。既に実証実験を行っている。従来は主に小型・低速のロボットによる歩道での走行が主流だが、同社は大型で速度の速いロボットを開発中。

これはナンバーを取得し、原付(原動機付自転車)の規格を備えたロボットで、車道を時速15キロメートルで走行する。北海道・石狩市と千葉県・千葉市で実証実験を行っている。現在は遠隔で操作する自動運転レベル2とのこと。コンビニの「セイコーマート」を運営するセコマと商品販売用途で、ヤマトホールディングス(9064)と個人向け配送サービスの実験を行っている。

会場では水のペットボトルの販売デモを公開。スマホのQRコードを読み取ることで扉を開錠し、商品を受け取って精算する流れを見せていた。実用化には原付規格でレベル4という制度の整備が必要になる。

【図表1】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年10月19日時点)

村田製作所(6981)

透明なIDタグを展示。見た目は透明だが、特殊な光を当てると認証する。人間の髪の毛の直径以下という小さい「極小コロイド粒子(結晶)」を用いている。そのコロイド結晶に光を照射すると特定の方向に強く光が透過/反射してパターンを示す。ほぼ透明なコロイド結晶を人工的に生成することに成功したという。様々な製品のトレーサビリティに対応できる。

具体的には高級腕時計、宝飾品などへの活用が想定されるとのこと。透明(微小・不可視)のIDタグならば製品の意匠性を損ねず、微細な小型製品にも目立たず取り付けできる。2次流通(中古品の売買)が盛んな高級品で、製品の真贋の判定にも用いることができるという。

会場では腕時計の時間を示す針や、真珠のネックレスの真珠の玉に透明IDタグをつけたデモが行われていた。見た目には全くわからないが、緑色の光を当てることでタグの存在が浮き上がる様子が分かった。

【図表2】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年10月19日時点)

TDK(6762)

パーソナル・リラクゼーション・モビリティ「PERMO(ぺルモ)」を展示。自動運転が実現した場合、モビリティ(自動車)はくつろぎの時間や空間になるというコンセプトで、クルマに見立てた構造物を展示している。キーレスエントリーで開錠し、中に入ると優れた音響システムから音楽が流れ、透明な屋根部分はフィルムヒーターで曇り止めをしている。インパネ部分は映像を映し出している。

車内は電圧のON・OFFで透明、不透明に切り替えることでプライバシーも守られる。同社の電池ユニットにクルマと家庭用電源を接続することで充電・給電ができる仕組みが想定されている。

【図表3】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年10月19日時点)