東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて4日ぶりに反落となりました。166円安の32,328円で寄り付いた日経平均はまもなくしてプラスとなり38円高の32,533円まで上昇しましたが、節目の32,500円を小幅に上回ったところで伸び悩むとマイナスに転じ9時40分前には180円安の32,313円まで下落しました。その後昨日の終値近辺まで戻す場面もありました。しかし、上値は重く下げ幅を広げると後場に入り14時50分過ぎに245円安の32,249円まで下落し結局178円安の32,315円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が3.6%安となっています。
2.個別銘柄等
本決算を発表したファーストリテイリング(9983)が5.7%高となりました。新規出店を加速させる海外のユニクロ事業の大幅な増収増益が見込まれることなどから2024年8月期の営業利益が市場予想を上回る4500億円になる見通しを示したことで大幅高となり、日経平均を1銘柄で193円押し上げています。上期決算を発表した竹内製作所(6432)も一時8.5%高となり上場来高値を更新しました。欧米でインフラ工事向けの需要が堅調に推移するなか主力の小型建機の販売台数が伸びると見込まれることなどから240億円とみていた通期の営業利益の見通しを331億円に上方修正したことで買いが優勢となりました。クレハ(4023)も一時7.2%高となり年初来高値を更新しました。旧村上ファンド系の投資ファンドであるエスグラントコーポレーションがクレハ株を5%超保有していることが関東財務局に提出した大量保有報告書で判明したことから買いを集めました。
一方でセブン&アイ・ホールディングス(3382)が一時5.3%安となりました。人流回復で来店客が増加し国内のコンビニエンスストア事業が好調だったことなどで上期の営業利益は前年同期比で2.7%増となりましたが、材料出尽くしで売りが優勢となりました。東証スタンダード市場では貸し会議室のティーケーピー(3479)が一時18.0%安となり年初来安値を更新しました。新型コロナウイルス感染症の5類移行などで貸会議室の稼働率が回復したことなどで上期の営業利益は前年同期比で43.1%増となりましたが、市場予想に届かなかったことから売りが膨らみました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は178円安となりました。9月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことにより米長期金利が上昇したことで昨日の米国市場が反落となったことから売りが優勢となり、昨日に回復した75日移動平均線(32,430円)や一目均衡表の雲の下限(32,404円)を割り込みました。しかし、25日移動平均線(32,266円)を小幅に下回ったところで下げ渋ると、25日移動平均線を上回って取引を終えました。そのため昨日までの堅調な地合いは大きく崩れていないといえそうです。なお、小売り企業の決算発表が続いていますが本日も引け後にはローソン(2651)や高島屋(8233)、良品計画(7453)などが決算を発表する予定です。また、米国では金融大手を皮切りに7-9月期の決算発表がスタートします。13日はJPモルガン・チェース[JPM]やシティグループ[C]、ウェルズ・ファーゴ[WFC]などが決算発表を予定しています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)