【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 33,604.65  △197.07 (10/9)
NASDAQ: 13,484.24  △52.90 (10/9)

1.概況

先週末の米国市場は長期金利が上げ幅を縮めるなかハイテク株中心に買いが入り反発しました。78ドル安でスタートしたダウ平均は長期金利の上昇を受けて朝方に272ドル安まで下落しました。しかし、長期金利が上げ幅を縮めると持ち直し午後に入って大きく上げ幅を広げる展開となりました。取引終盤に438ドル高まで上昇した後は引けにかけてやや上げ幅を縮めましたが、結局288ドル高の33,407ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も211ポイント高の13,431ポイントとなっています。

昨日の米国市場は米連邦準備理事会(FRB)のジェファーソン副議長が公開した講演の原稿で「債券利回りの上昇を通じた金融引き締めを今後も認識しつつ、将来の政策の方向性を評価することを心掛ける」と述べたことで、金融引き締め長期化への懸念が後退し続伸となりました。中東地域での戦闘激化を受けて147ドル安でスタートしたダウ平均は153ドル安まで下落する場面もありました。しかし、午後に入って買いが優勢になると上げ幅を広げ取引終盤には224ドル高まで上昇しました。その後は伸び悩みましたが、引き続き堅調に推移すると結局197ドル高の33,604ドルで取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も52ポイント高の13,484ポイントとなっています。

2.経済指標等

先週末に発表となった9月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は33万6000人増となり市場予想を大きく上回りました。また、失業率は前月と変わらずの3.8%となり市場予想を上回っています。平均時給は前月比0.2%上昇に止まり市場予想を下回りました。さらに8月の米消費者信用残高は前月比156億3000万ドル減となりました。

3.業種別動向

先週末の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち生活必需品を除く10業種が上げました。そのなかでも情報技術とコミュニケーション・サービスが2%近く上昇したほか、公益事業と資本財・サービス、ヘルスケアも1%以上上げています。
昨日の業種別S&P500株価指数は11業種全てが上げました。そのなかでもエネルギーが3%を超える上昇となったほか、資本財・サービスと不動産、公益事業も1%以上上げています。

4.個別銘柄動向

先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中24銘柄が上げました。そのなかでもセールスフォース[CRM]とウォルト・ディズニー[DIS]、ハネウェル・インターナショナル[HON]、マイクロソフト[MSFT]、キャタピラー[CAT]が2%以上上昇しています。一方でウォルマート[WMT]とウォルグリーン・ブーツ・アライアンス[WBA]、マクドナルド[MCD]、シェブロン[CVX]が1%以上下げています。ダウ平均構成銘柄以外では主力ハイテク株が堅調でフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ[META]が3%を超える上昇となり、ネットフリックス[NFLX]も2%以上上げています。グーグルの持ち株会社であるアルファベット[GOOGL]も2%近く上昇しました。また、半導体株も高くアドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]が4%を上回る上昇となり、エヌビディア[NVDA]とブロードコム[AVGO]も2%以上上げています。

昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄は21銘柄が上げました。そのなかでも原油先物価格の上昇を受けてシェブロン[CVX]が3%近く上げたほか、ウォルト・ディズニー[DIS]もアクティビスト(物言う株主)として知られるネルソン・ペルツ氏の率いるトライアン・ファンド・マネジメントが再び経営への関与を強める意向を示していると伝わったことで2%以上上昇しました。また、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス[WBA]も2%以上上げ、キャタピラー[CAT]とベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]も2%近く上昇しています。ダウ平均構成銘柄以外では、原油先物価格の上昇を受けて空運株が安く、ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス[UAL]が5%近く下げ、アメリカン航空グループ[AAL]とデルタ航空[DAL]も4%以上下落しています。

5.為替・金利等

先週末の長期金利は雇用統計では雇用者数が市場予想を大きく上回ったことで0.08%高い4.80%となりました。一時は4.88%まで上昇する場面もありましたが、平均時給の伸びが市場予想を下回ったこともあり上げ幅を縮めて取引を終えています。また、昨日の債券市場はコロンバスデーの祝日で休場でした。ドル円は148円台半ばで推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場でダウ平均が先週末と昨日の2日間で485ドル高となったことから上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の31,000円を超えてどこまで上値を伸ばせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)