モトリーフール米国本社 、2023年10月3日 投稿記事より
主なポイント
・メタ・プラットフォームズ[META]は9月に開かれたMETA Connectカンファレンスで、複数の新しい生成AI機能を発表
・同社はAIを活用してエンゲージメントを促進すると同時に、企業が新規顧客にアプローチするのをサポート
・新機能が加わることで成長が促進され、メタ・プラットフォームズは時価総額1兆ドルを回復する可能性がある
メタ・プラットフォームズ[META]は、すぐに使えるAIでイノベーションをリードする数少ない企業の1つである
1兆ドルクラブには、人工知能(AI)でイノベーションを発揮している銘柄や、AIを下支えする銘柄が多く含まれています。次に1兆ドルクラブ入りが期待される企業も、最新の生成AI機能を発表したばかりです。
メタ・プラットフォームズ[META]は9月下旬に開催されたイベント「Meta Connect」の中で、38億8,000万人に上る自社の月間アクティブユーザー向けに複数の生成AIツールを発表しました。たとえば、独自のAIアシスタントを活用し、有名人の似顔絵を使ったAI搭載チャットボットが何十個も作られました。
また、新しい画像ジェネレーターは、メッセージアプリ用のステッカーを作成したり、Instagramの写真を数秒で編集して、ベネチア旅行から帰ってきたばかりのように見せたりすることができます(ただし、写真にはAIによって生成されたというメッセージが表示されます)。
メタ・プラットフォームズのAIツールにより、同社のアプリに対するユーザーのエンゲージメントは高まるかもしれませんが、同社が1兆ドルクラブに返り咲くのを真に後押しするものは、その舞台裏にあります。
優れた企業向けチャットボットの構築
2022年にマーク・ザッカーバーグCEOは従業員に対し、自社のメッセージアプリであるWhatsAppとMessengerがメタ・プラットフォームズの次の成長の柱になる可能性が高いと語りました。
「META Connect」のカンファレンスで発表した企業向けのAI Studioは、企業の売上増に貢献する可能性があります。企業がWhatsAppやMessenger内に便利なチャットボットを簡単に作成できるようになれば、より多くの企業が主要な顧客サービスプラットフォームとして同アプリを利用するようになるはずです。そしてメタ・プラットフォームズは、有名人を使った独自のAIキャラクターを活用することで、企業が自社のチャットボットに個性を注入できることを示しました。
需要に応じて拡張可能で、人員削減を可能にする効果的なチャットボットは、メタ・プラットフォームズのメッセージング事業に2つの重要な収入源をもたらすと予想されます。1つは、WhatsApp for Businessのプラットフォームを含め、MessengerやWhatsAppを契約する企業が増えること。もう1つは、企業がチャットを通じて顧客とのやり取りを簡単に増やすことができる、メッセージ誘導広告の売上高が増加することです。
こうした企業向けサービスと、プライベートで楽しむためにWhatsAppやMessengerを利用する個人向けサービスを合わせることで、メタ・プラットフォームズは自らが最も得意とすることをやっています。つまり、より多くのユーザーを自社アプリに誘導し、企業と消費者を効率的な方法で結び付けているのです。この新たな価値は、企業や投資家から高い評価を受ける可能性が高いでしょう。
Llama2の拡張
メタ・プラットフォームズのAIツールはすべて、既に開発者の間で評判が高まっている大規模言語モデルのLlama2モデルに基づいて構築されています。今回メタ・プラットフォームズが構築したものを目にすることで、さらに多くの開発者が他の基盤モデルの代わりにLlama2を活用するようになるかもしれません。
これは、いくつかの点でメタ・プラットフォームズに恩恵をもたらします。第1に、多くの開発者がLlama2に触れることで、革新的で新しいアイデアが生まれ、メタ・プラットフォームズ自身がそれを実現させる可能性があります。より効率的なモデルかもしれませんし、具体的なタスクに特化したモデル、あるいはまったく新しいアプリケーションかもしれません。
Llama2は既に、性能面で最も競争力のある生成AIモデルの1つです。メタ・プラットフォームズが競合他社よりも優れたプラットフォームを導入して、競争で優位に立つ可能性は十分にあります。
AI関連の多くの競合他社とは異なり、メタ・プラットフォームズには、2つの主な方法で売上高の成長を促進するという明確なAI戦略があります。これらを合わせると、可能性は計り知れません。
1.エンゲージメントの増加
先に述べたように、ユーザーは、メタ・プラットフォームズが提供するさまざまな個人向けAIアプリでより多くの時間を過ごすようになり、アプリをまたいだ利用も増えると思われます。たとえば、「今夜のおいしい夕食のレシピを教えて」と質問すると、メタ・プラットフォームズのAIアシスタントがユーザーのInstagramのアカウントに答えを送ってくれるといった具合です。
2.広告がより簡単に
生成AIによって、これまでより規模の小さい企業がFacebookやInstagramに広告を掲載するようになる可能性があります。ソーシャルメディア広告における大きな課題の1つは、結果につながる効果的なクリエイティブ(コピーや画像)を生み出すことです。メタ・プラットフォームズの生成AIツールは、その大変な作業を代行し、どのクリエイティブが最大の結果をもたらすかをテストすることもできます。同社は既に広告ツールのAdvantage+を通じて、こうしたサービスを提供しています。
再びの1兆ドルクラブの仲間入りへ
本稿執筆時点において、メタ・プラットフォームズの株価は約300ドルであり、時価総額は7,720億ドル強です。時価総額が1兆ドルの大台に乗るためには、株価はここから30%近く上昇する必要があります。
しかし、メタ・プラットフォームズにとって、それは未知の領域ではありません。同社は2021年6月、まだ社名がフェイスブックだった時に1兆ドルに到達したことがあります。
メタ・プラットフォームズのAIイノベーションは、再び1兆ドルクラブに入るためのチケットとなるでしょう。1兆ドルクラブに入っている他の企業と太刀打ちできるAIチャットボットをリリースしただけではなく、同社はAIを使って、他のどの企業よりも多くのことができるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。フェイスブックの元市場開発担当ディレクター兼スポークスマンであり、メタ・プラットフォームズのMark Zuckerberg CEOの姉であるRandi Zuckerbergは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Adam Levyは、メタ・プラットフォームズの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はメタ・プラットフォームズの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。