約2ヶ月半も続くユーロ安・米ドル高
ユーロ/米ドルは今週に入りついに1.05米ドルも大きく割れる動きとなった。すでに先週まで11週連続と記録的な週足チャートのユーロ陰線が展開したが、これまでのところではまだそれが一巡する兆しは見られない(図表1参照)。
英ポンド/米ドルも、先週までの11週間で小幅の英ポンド陽線が2週あったものの、9週は英ポンド陰線だった(図表2参照)。その意味では、英ポンド/米ドルの場合も、すでに見てきたユーロ/米ドルとほぼ同じように、約2ヶ月半に渡り下落傾向が続いているわけだ。
以上のように見ると、ユーロ/米ドルと英ポンド/米ドルの下落長期化の本質は、ユーロ安、英ポンド安以上に、一本調子の米ドル高という面にあるのではないか。ではこの一本調子の米ドル高はまだ続くのだろうか。
ユーロ/米ドルと独米金利差の関係を見ると、8月まで両者は概ね連動していたものの、9月に入ってからはかい離が目立っている(図表3参照)。9月に入ってからの一段のユーロ安・米ドル高は、金利差で説明できる範囲を超えた動きだった。
原油価格の足踏み。一時的ユーロ安/米ドル高なら一段落か
9月に入ってからの一段のユーロ安・米ドル高を説明できそうなのは原油相場の上昇だった。原油相場は、ロシアやサウジアラビアなどの減産を受け9月にかけて一段高となったが、それはユーロ/米ドルの続落と概ね逆相関関係で展開したものだった(図表4参照)。
ただし、原油相場も最近にかけて上げ渋りが目立ってきた。WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)の90日MA(移動平均線)かい離率を見ると、WTIが90米ドルを大きく上回る中で、短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなっていた(図表5参照)。金利差からのかい離に加え、原油高も足踏みが続きユーロ/米ドルの下落を正当化しなくなった場合、ユーロ安・米ドル高の継続は微妙になるのではないか。
ユーロ/米ドルの下落が長期化する中で、足元で1.068米ドル程度の52週MAを大きく割れる動きとなってきた。経験的に、継続的な動き「トレンド」と逆行する一時的な動きは52週MAを5%以上大きくブレークしない程度にとどまる可能性が高い。逆に言うと、52週MAを5%以上大きくブレークする場合は、一時的な動きではなく、すでに新たなトレンドへ転換した動きの可能性が高まる。
対ユーロのみならずの「一本調子のドル高」終了を見極める局面
足元1.068米ドルの52週MAを5%下回る水準は1.015米ドル程度の計算になるので、ここまでのところでは、ユーロ続落、米ドル続伸も、あくまでユーロ高・米ドル安トレンドの中の一時的ユーロ安・米ドル高に過ぎないということになる(図表6参照)。
そして、すでに11週も続いたこの一時的ユーロ安・米ドル高が、今週ないし来週にも一段落となるようなら、それは対ユーロにとどまらず、7月半ば以降続いてきた一本調子の米ドル高の終了を意味することになるか注目されるところだろう。