東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅反落となりました。252円安の32,119円で寄り付いた日経平均は10時30分前に207円安の32,164円まで持ち直しました。しかし、前引けにかけて急速に下げ幅を広げると558円安の31,813円で前場を終えました。さらに下げ幅を広げ641円安の31,730円でスタートした後場の日経平均は直後に697円安の31,674円まで下落した後持ち直すと14時40分過ぎに409円高の31,962円まで戻しましたが、節目の32,000円を前に上値は重く引けにかけて下げ幅を広げると結局499円安の31,872円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

三菱自動車工業(7211)が配当落ちを考慮した基準値比で一時5.7%高となり年初来高値を更新しました。電気自動車(EV)の出遅れで販売が低迷する中国の自動車生産から撤退する方針を固めたと伝わったことで不採算分野からの撤退を好感する買いが入りました。上期決算を発表した西松屋チェーン(7545)も一時6.2%高となりました。中間配当を従来予想から1円積み増したうえに、自社株買いを発表しことから上げ幅を広げる場面がありました。乃村工藝社(9716)も一時5.1%高となりました。大型商業施設やホテルへの客足が回復し、店舗内装施工の売り上げが堅調に伸びていることなどから2024年2月期の業績予想を上方修正したことで大幅高となりました。宅配寿司「銀のさら」などを運営するライドオンエクスプレスホールディングス(6082)も一時6.4%高となりました。2023年3月に実施した価格改定による値上げの影響により、店舗の原価率及び人件費率等が改善したことなどで2024年3月期の業績予想を引き上げたことから買いが優勢となりました。

また、原油先物価格の上昇を受けてINPEX(1605)や石油資源開発(1662)が高く、INPEXが一時4.5%高、石油資源開発も配当落ちを考慮した基準値比で一時5.4%高となり、揃って年初来高値を更新しています。一方で原油先物価格の上昇を受けて燃料費負担増を懸念した売りが出て日本航空(9201)やANAホールディングス(9202)が安く、配当落ちを考慮した基準値比で日本航空が一時3.1%安、ANAホールディングスも一時4.4%安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は499円安となりました。配当落ちの影響に加え、日米の長期金利が上昇するなか値がさのハイテク株を中心に売りが出て大幅安となりました。朝方は節目の32,000円を小幅に下回ったところで下げ渋る様子もみられましたが、一目均衡表の雲の下限(32,163円)で上値が押さえられると下げ幅をさらに広げ225円程度とみられる配当落ち影響度を大きく上回る下落となりました。そのため警戒ムードが改めて強まりそうです。なお、日本時間の21時30分には4-6月期の米実質国内総生産(GDP)確定値や米新規失業保険申請件数が発表される予定です。また、28日の米国ではナイキ[NKE]が決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)