【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 34,837.71 △115.80 (9/1)
NASDAQ: 14,031.82 ▼3.15 (9/1)
1.概況
先週末の米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均とS&P500株価指数は8月の米雇用統計で失業率が前月から悪化し、平均時給も前月から伸びが鈍化したことで金融引き締め長期化への過度な警戒感が後退し反発となりましたが、ナスダック総合株価指数はウォルト・ディズニー[DIS]とケーブルテレビ大手のチャーターのチャーター・コミュニケーションズ[CHTR]のトラブルを受けてストリーミング配信会社が急落したことで6日ぶりに反落となりました。154ドル高でスタートしたダウ平均は直後に257ドル高まで上昇した後伸び悩むと昼前にマイナスに転じました。しかし、1ドル安で下げ渋ると午後に入って持ち直し結局115ドル高の34,837ドルで取引を終えています。また、S&P500株価指数も8ポイント高の4,515ポイントとなりました。一方でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3ポイント安の14,031ポイントとなっています。
2.経済指標等
8月の米ISM製造業景況感指数は47.6と前月から上昇し市場予想を上回りました。また、7月の米建設支出も年率換算で前月比0.7%増となり市場予想を上回りました。さらに8月の米雇用統計で非農業部門雇用者数も前月比18万7000人増となり市場予想を上回りました。一方で失業率は3.8%と前月の3.5%から上昇し横ばいを見込んでいた市場予想に反して悪化しました。平均時給も前月比0.2%上昇と前月から伸びが鈍化し市場予想を下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうちエネルギーや素材、金融などの6業種が上げ、なかでもエネルギーが2%余り上昇したほか、素材も1%高となりました。一方で生活必需品や一般消費財・サービス、コミュニケーション・サービスなどの5業種が下げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄ではインテル[INTC]が4%以上上げたほか、原油価格の上昇を受けてシェブロン[CVX]も2%近く上げました。一方で最高経営責任者(CEO)の退任を発表したウォルグリーン・ブーツ・アライアンス[WBA]が7%を超える下落となり、ウォルト・ディズニーも契約が折り合わずチャーター・コミュニケーションズが運営するケーブルテレビから番組を削除するといったトラブルを受けて2%以上下げました。ダウ平均構成銘柄以外ではウォルト・ディズニーとチャーター・コミュニケーションズとのトラブルを嫌気した売りが他のストリーミング配信会社にも波及し、ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー[WBD]が12%安となり、パラマウント・グローバル[PARA]も9%を上回る下落となりました。フォックス・コープ[FOX]も6%近く下げています。また、半導体のブロードコム[AVGO]が決算で示した8-10月期の売上高見通しが市場予想並みにとどまったことから5%を上回る下落となりました。デル・テクノロジーズ[DELL]は決算で売上高が市場予想ほど落ち込まなかったことで急伸し21%以上上げています。
5.為替・金利等
先週末の長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)高官が労働市場は依然として強いとの認識を示したことで0.08%高い4.18%となりました。こうしたなかドル円は円安に振れ146円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は先週末の米国市場でダウ平均が反発となった流れを受けて堅調なスタートが予想されます。日経平均が利益確定の売りがでやすいなかで一日を通して堅調さを維持できるかがポイントとなりそうです
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)