東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は4日ぶりに反発となりました。102円高の31,552円で寄り付いた日経平均は取引開始から1時間弱で266円高の31,717円まで上昇した後上げ幅を縮めると10時10分過ぎにマイナスに転じましたが、40円安の31,409円で下げ渋ると持ち直し前引け間際には307円高の31,758円まで上昇しました。しかし、その後伸び悩むと後場に入って上げ幅を縮め結局114円高の31,565円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
東京電力ホールディングス(9501)や沖縄電力(9511)、東北電力(9506)といった電力株が買われました。東京電力ホールディングスは福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出を巡り、小早川智明社長が漁業者らへの風評被害対策を担う社長直轄の組織を立ち上げることを明らかにしたと伝わったことで処理水の海洋放出進展への期待が高まり一時6.6%高となり年初来高値を更新しました。沖縄電力も具志川火力発電所で発生した石炭揚炭設備1基の損壊に伴い未定としていた今期の業績予想を発表し、営業損益が51億円の黒字に転換する見通しを示したことから一時3.2%高となったほか、東北電力も目標株価の引き上げを受けて一時5.3%高となっています。
本決算を発表したセキュリティー機器などを手掛けるあいホールディングス(3076)も一時11.0%高となりました。2024年6月期の営業利益が前期比で13.4%増となる見通しを示したことや、これまで明確な数値目標は設けていなかった配当性向を50%以上とする方針を発表したことから買いを集めました。また、東証グロース市場では出張買い取りサービスのBuySell Technologies(7685)が自己株式を除く発行済み株式数の2.06%にあたる30万株、12億円を上限とする自社株買いを発表したことから一時6.6%高となっています。一方でインターネットイニシアティブ(3774)が目標株価の引き下げを受けて一時2.4%安となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は114円高となりました。先週末の米国市場が小幅に高安まちまちとなり材料に乏しいなか先週末までの3日間で800円近く下げていたこともあり自律反発狙いの買いが入り上昇となりました。朝方の買い一巡後に伸び悩むと小幅にマイナスとなる場面もありましたが、下げ渋ると持ち直し一時は300円以上上げる場面もありました。
しかし、5日移動平均線(31,729円)を小幅に上回ったところで伸び悩むと後場に入って上げ幅を縮めました。そのため上値の重さがやや意識されそうで、エヌビディア[NVDA]の決算発表や、カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム(ジャクソンホール会合)でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演といった重要イベントを控え様子見となりやすいなかでどこまで戻りを試せるかが今週はポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)