モトリーフール米国本社、2023年7月23日 投稿記事より

主なポイント

・2023年上半期にS&P500指数は15.9%上昇し、上昇分の73%を7銘柄が占めた
・ウォール街は現在、アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドットコム、エヌビディア、テスラ、メタ・プラットフォームズの投資判断を強気と考えている
・バンガードS&P500 ETFとバンガード米国メガキャップ・グロースETFは、7銘柄に大きなエクスポージャーを提供

ウォール街は7銘柄に強気

S&P500指数は2023年上半期に15.9%上昇し、現時点で過去最高値をわずか5%下回る水準にあります。同指数上昇分の73%は、ウォール街で「Magnificent Seven(1960年に公開された米国の西部劇映画のタイトルに例えると、邦題は『荒野の七人』)」と称される7銘柄によるものです。言い換えるとS&P500指数は、わずか7銘柄の力によって強気相場に向かって押し上げられていると言えます。

FAANG銘柄に詳しい投資家なら、これら7銘柄の多くを知っているはずです。7銘柄とは、アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドットコム、エヌビディア、テスラ、メタ・プラットフォームズのことを指します。これら7銘柄の時価総額を合計すると11兆ドルを上回ります。

7銘柄は2023年上半期にそれぞれ36~190%上昇しましたが、ウォール街はこれらの銘柄に依然として強気です。CNNビジネスによると、アナリストの間ではすべての銘柄に「買い」の投資判断が付けられており、足元の水準から見た12ヶ月後目標株価で最も高いものは、テスラが20%高、アップルが23%高、メタ・プラットフォームズが27%高、マイクロソフトが27%高、アルファベットが56%高、アマゾン・ドットコムが63%高、エヌビディアが63%高の水準です。

もちろん、短期的な目標株価を過信してはいけません。ウォール街で最も賢明なアナリストでさえ、将来を予測することなどできないのです。しかし、これら7銘柄はいずれも、確かな投資テーマに裏付けられています。

アップル[AAPL]

アップルは、タブレット、スマートウォッチ、スマートフォンを中心に、いくつかの家電製品分野で圧倒的な存在感を示しています。しかし、同社の未来を担っているのは、急成長中のサービス事業です。同社にはインストールベースで20億台のデバイスがあり、クラウドストレージ、モバイルアプリの使用料、金融サービスといった隣接するサービス商品から収益を得ることができます。アップルは、これら市場のうち2つで、特に強力な足場を築いています。アプリストアの「App Store」は2番手のライバルと比べて2倍の売上をもたらし、決済サービスの「Apple Pay」は米国内で最も人気のあるモバイルウォレットです。

マイクロソフト[MSFT]

マイクロソフトは、企業向けSaaS(サービスとしてのソフトウェア)製品の市場リーダーであり、Microsoft Azureは世界第2位のクラウドサービス・プロバイダーです。同社は両方の分野で人工知能(AI)を積極的に取り入れており、モルガン・スタンレーのアナリストであるキース・ワイス氏は最近、マイクロソフトは生成AIを収益化する上で最も有利な立場にいるソフトウェア企業だと述べました。

アルファベット[GOOGL]

アルファベット傘下のグーグルは、絶大な人気を誇るGoogle検索とYouTubeにより世界最大のアドテック企業であり、Google Cloud Platformは世界第3位のクラウドサービス・プロバイダーです。また、傘下のウェイモは自律走行による配車サービスを商業化した最初の企業であり、ロボタクシー市場は今後10年間で爆発的に成長すると予想されています。

アマゾン・ドットコム[AMZN]

アマゾン・ドットコムは、世界で最も利用者の多いeコマース・マーケットプレイスを運営しており、消費者を取り込み、買い物客のデータを収集する能力は、デジタル広告事業の急成長に大きく貢献しています。あまり知られていませんが、アマゾン・ドットコムは今や世界第3位のアドテック企業であり、グーグルやメタ・プラットフォームズに迫る勢いです。また、Amazon Web Services(AWS)は12年以上にわたってクラウドコンピューティング市場をリードし、最近では、クラウドAI開発者向けサービスのリーダーとして認識されています。

エヌビディア[NVDA]

エヌビディアは、ワークステーションのグラフィックチップとスーパーコンピューターのアクセラレーターで90%以上の市場シェアを占めており、調査会社フォレスター・リサーチによると、同社の半導体はAIインフラの代名詞となっています。エヌビディアはまた、高性能ネットワーク機器に手を広げたことでデータセンターにおける自社の重要性を確固たるものにし、サブスクリプション・ソフトウェアやクラウドサービスの分野に進出したことによってAIを収益化する能力を拡大しています。

テスラ[TSLA]

テスラはバッテリー電気自動車(BEV)の販売で市場をリードしており、2022年には世界の大手自動車メーカーの中で最も高い営業利益率を記録しました。この業績は、自社には優れた生産能力があるというイーロン・マスクCEOの信念を裏付けるものです。電気自動車(EV)の普及に伴ってテスラが恩恵を受けることは間違いありませんが、同社にとって最大の機会は自律走行車にあります。テスラは2024年にもロボタクシーを完成させる計画であり、アーク・インベストメント・マネジメントは、ロボタクシー市場の規模が2030年までに9兆ドルになると予想しています。

メタ・プラットフォームズ[META]

メタ・プラットフォームズは世界第2位のアドテック企業です。同社の成功を支えているのは、Instagram、WhatsApp、Facebookといったソーシャルメディアの絶大な人気で、これらはいずれも、2022年のモバイルアプリのダウンロード件数で世界トップ10に入りました。これらのプラットフォームは既に、1日のユーザー数が数十億人に達していますが、メタ・プラットフォームズはAIを積極的に取り入れることで、ユーザーエンゲージメントを向上させ、広告能力を一段と磨こうとしています。

7銘柄に投資するには

7銘柄に投資するには、7銘柄すべての株式を買うという方法もあります。しかし、バンガードS&P500上場投資信託(ETF)[VOO]やバンガード米国メガキャップ・グロースETF[MGK]といったインデックスファンドであれば、幅広い企業に分散投資できるため、より賢明な選択肢かもしれません。

バンガードS&P500 ETFはバリュー株やグロース株を含む大型株500銘柄に連動し、資産の24%が7銘柄に投資されています。一方で、バンガード米国メガキャップ・グロースETFは大型グロース株96銘柄に連動し、資産の56%を7銘柄が占めています。

結論として、どちらのETFも経費率は平均を下回りますが、バンガードS&P500 ETFは、より分散された企業グループに資本を配分するため、リスクの低い選択肢と言えます。しかし、これまでのパフォーマンスが高いのはバンガード米国メガキャップ・グロースETFです。過去10年間のリターンで比べると、バンガードS&P500 ETFの225%に対し、バンガード米国メガキャップ・グロースETFは325%です。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。フェイスブックの元市場開発担当ディレクター兼スポークスマンであり、メタ・プラットフォームズのMark Zuckerberg CEOの姉であるRandi Zuckerbergは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケットの元CEO、John Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Trevor Jennewineは、アマゾン・ドットコム、エヌビディア、テスラの株式、およびバンガードS&P500 ETFのポジションを保有しています。モトリーフール米国本社はアルファベット、アマゾン・ドットコム、アップル、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラの株式、およびバンガードS&P500 ETFのポジションを保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。