先週の振り返り=前週から一変、米ドル急反発!

先週の米ドル/円は、前週から一転、米ドル高・円安へ大きく戻す展開となりました(図表1参照)。今週予定されている米国の金融政策を決める会合、FOMC(米連邦公開市場委員会)での追加利上げへの警戒が「米金利上昇=米ドル高」をもたらしたとともに、7月28日(金)予定の日銀金融政策決定会合で金利上昇阻止策の見直しが見送られるとの見方が広がり、「円金利上昇=円高」の修正が入ったためでしょう。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2023年5月~)
出所:マネックストレーダーFX

1年前と同様のプライスパターンで米ドル高値更新に向かうか

1年前も、7月に入り米ドル/円は急落しましたが、すぐに切り返し、8月以降はそれまでの米ドル高値更新に向かいました(図表2参照)。今回も一本調子で展開してきた米ドル高・円安が、7月に入り大きく米ドル安・円高へ揺り戻しが起こったところまでのプライスパターンは1年前とほぼ同じです。この先も似たプライスパターンが続くなら、先週の米ドル/円反発は、この間の米ドル高値の145円更新に向かう動きということになりますが、果たしてどうでしょうか。

【図表2】米ドル/円の推移(2022年4~12月)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

1年前との違いは米ドル買い・円売りのポジション

これまでのプライスパターンは、1年前とある程度似ています。ただその一方で、1年前と足元ではいくつかの顕著な違いもあります。その1つが、米ドル買い・円売りのポジションでしょう。

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、足元で9万枚の売り越し。
円売り超しは1週間で比較的大きく縮小しました(図表3参照)。これは、6月末の145円から一時137円割れ近くまで米ドル/円急落となった中で、大幅に米ドル買い・円売りに傾斜していたポジションの調整が入ったためと考えられます。

【図表3】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

このデータで見る限り、円の売り越しは、1年前より高水準となっています。その意味では、1年前に比べると米ドル買い・円売りの再拡大に伴う米ドル高・円安の再燃は限られる可能性があるのではないでしょうか。

今週の注目点=FOMC、そして日銀会合

今週は、7月26日(水)がFOMC、27日(木)がECB理事会、そして28日(金)は日銀の金融政策決定会合と、日米欧の金融政策の会合が続きます。それ以外に、27日(木)は米国の4~6月期のGDP成長率(速報値)の発表も予定されています。

金融市場が過敏に反応する、米国など主要国の金融政策、そして「世界一の経済大国」である米国の景気についての代表的な指標の発表が続くことになります。以下で、そうした注目イベントについて個別に解説していきます。

FOMC

0.25%の利上げがほぼ確実視されています。ただ、次回以降の利上げについては見方が分かれています。このため、次回以降の利上げ見通しについて、FOMCの声明やパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の記者会見などを確認しましょう。今後の利上げ見通しが米金利の反応を通じた米ドル/円の行方に影響することになりそうです。

米4~6月GDP

今のところの事前予想は、前期比年率で2%以上。3月の金融システム不安を受けた米景気後退(リセッション)への懸念の後退を確認することになりそうです。また、米国の経済成長率が潜在成長率とされる2%以上を推移する中では、経験的には株価の急落も起こりにくいということがあります。

日銀の金融政策決定会合

日銀の政策判断を巡る状況は、物価高、株価の一段高、円安再燃などといった変化が少なくありません。こうした中で、金融緩和の修正が注目されているわけですが、最初の政策変更となりそうな対象として注目されているのがYCC(イールドカーブ・コントロール)の中で行われている10年債利回り上限の見直しです。ただこれについて、最近の植田総裁の発言や一部報道などから、7月末の会合での見直しはなさそうとの見方が有力になっています。

1年前と比べても米ドル/円上昇は限られる可能性

以上、今週予定されている注目材料を、主なものについて個別にみてきました。今週は、これらの注目イベントの結果を受けて、値動きが大きくなる可能性があるでしょう。ただし、すでに見てきたように、米ドル買い・円売りへのポジションの傾斜が大きいこと、そして米利上げも終盤にあるといった見方に大きな変化がない限り、これまで比較的似たプライスパターンが展開してきた米ドル/円だったものの、1年前に比べると米ドル高・円安の再燃には自ずと限度があるのではないでしょうか。

米ドル/円にとって、142円はテクニカルに重要な分岐点と見られます。ただ142円を超えることがあっても、これまで見てきたことからすると米ドル/円上昇は限られる可能性があるのではないでしょうか。以上を踏まえると、今週の米ドル/円の予想レンジは138~144円で想定したいと思います。