モトリーフール米国本社、2023年7月18日 投稿記事より 

主なポイント

・キャシー・ウッド氏の旗艦ファンドは2022年に下落したが、2023年に急騰している
・ウッド氏はイノベーターや高成長企業を選好

異なる銘柄にも適用できるキャシー・ウッド氏の投資手法

著名投資家キャシー・ウッド氏は、2023年上半期に極めて高いリターンを実現しました。同氏が運用する旗艦ファンドのアーク・イノベーション上場投資信託(ETF)の上半期の上昇率は40%を超え、S&P500指数の約15%上昇を大きくアウトパフォームしました。このパフォーマンスにより、ウッド氏の大物投資家としての地位が再確認されました。

さて、ここからが今回の本題です。ウッド氏の投資戦略を真似ることで、誰でも高いリターンを得られるかもしれません。ウッド氏の投資戦略には、市場環境とは無関係の基本ルールがいくつかあります。そうした基本ルールこそが、同氏のリターンの原動力となっているのです。市場をアウトパフォームするウッド氏のルールについて見てみましょう。

群衆に逆らう

最初のポイントとして、ウッド氏は群衆に逆らうことを恐れません。同氏は特定のタイプの企業を選好し、短期的に打撃を受けたとしても自らの信念を貫き通します。例えば、ウッド氏の最大のファンドであるアーク・イノベーションETFは、2022年に66%下落しました。これは、同ファンドで大きなウェートを占める銘柄から投資家が逃避したことが原因です。

経済が厳しくなると、多くの投資家はヘルスケア企業や有配企業など、安全と思われる銘柄を好みます。そして、リスクが高いと思われがちな高成長企業を避ける傾向があります。アーク・イノベーションETFの上位銘柄には、電気自動車(EV)メーカー大手のテスラ[TSLA]や、暗号資産(仮想通貨)取引プラットフォームのコインベース [COIN]などがあります。同ファンドは他にも、ハイテク企業やバイオテクノロジー企業を保有しています。

これらの企業には大きな共通点があります。いずれもイノベーターです。ウッド氏は、これらの企業がそれぞれの業界で、明日の最大の勝者になるかもしれないとの考えに基づき、今日最大のイノベーターに大きく投資しています。2023年に入り、強気相場の到来を楽観視する投資家が、こうした銘柄に再注目しています。

しかし、ウッド氏は、その時の相場の動きに合わせて投資したり、資金を引き揚げたりすることはありません。同氏の戦略は、革新的な製品やサービスを生み出す企業に投資することで、いずれも高成長企業、あるいは高成長の可能性を秘めた企業ばかりです。例えば、テスラは2022年に過去最高の売上高と純利益を上げました。こうした堅調な業績にもかかわらず、テスラの株価は2022年に65%も下落しました。しかし、ウッド氏は同社株を保有し続け、2027年までに株価が2,000ドルまで上昇する可能性があるとの見方を明らかにしました。

ということは、ウッド氏を見習って、ハイテク企業やイノベーター企業の株式を購入するべきでしょうか。必ずしもそうとは限りません。そうではなく、ウッド氏のように、群衆に逆らうことを恐れてはいけないということです。ある銘柄の長期的見通しを信じるならば、他人の言動を気にしてはいけません。ウッド氏は、保有銘柄が2022年に急落した時も、決して手放しませんでした。そして今、その粘り強さが実を結んでいます。

長期投資

2つ目のポイントは、ウッド氏が短期的な株価の変動を気にしない最大の理由は、長期的視点で投資しているからです。これは、どの投資家にも言えることです。少なくとも5年以上持ち続けるつもりで株を買うことです。もちろん、もっと長く保有し続けても構いません。

これがそれほど重要なのには、いくつかの理由があります。第1に、困難な市場でもあまり心配することなくやり過ごすことができます。お気に入りの銘柄が数ヶ月、あるいは1年間にわたって下落したとしても、全く問題はありません。株式を保有し続けている限り、一時的な下落が全体的なリターンに大きな影響を与えることはありません。

第2に、長期的に保有し続ければ、その間に企業の利益が成長し、株価も上昇する時間ができます。もちろん、短期的に株価が上昇することもあるかもしれません。その時点で売却し、利益を得ることもできます。しかし、正しい銘柄選択をしているのであれば、何年も持ち続けることでさらに大きな利益を得られる可能性が高まります。

結局のところ、ウッド氏のように市場をアウトパフォームすることを目指すには、2つのことを忘れてはいけません。一時的に市場から見放されたとしても、自分が信じる企業にこだわることと、長期的に投資することです。

これを自分の投資戦略に応用し、優良銘柄を選択すれば、ウッド氏や他の有名投資家のように、長期的に成功を収めることができるかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Adria Ciminoは、テスラの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、コインベース・グローバル、テスラの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。