◆マネックスグループでは、今年の夏、例年より多くの学生諸君をインターンとして迎え入れている。わがFI部(フィナンシャル・インテリジェンス部)にも2名の女子大生がインターンとしてやってきた。ひとりは日本の女子大から、もうひとりは香港の大学からである。暑いさなかで大変だが、この夏の就業体験を有意義なものとしてほしい。

◆インターンとは本来、医学修習生など実地訓練をおこなう学生の呼称であった。それが転じて、学生が一定期間企業の中で研修生として働き、自分の将来に関連のある就業体験を行える制度をインターンシップと呼ぶようになった。学生にとっては就職前に企業で働けるまたとない機会であるが問題がないわけではない。代表例が、「名ばかりインターンシップ」だ。

◆日本では、インターン=社会勉強という考え方で基本的に無給である。しかし、企業によっては、インターンの学生をアルバイトと同様に扱い、無給でアルバイトと同じ内容の仕事をさせるところもある。これは明らかに、ただ働き、いや「ただ働かせ」である。

◆そんななか、某コミュニケーションアプリ大手の企業がインターンに月額40万円の報酬を払うことが話題になっている。優秀なエンジニアをそれなりの対価をもって処遇する。学生であっても優れた労働に対して適正な対価を払うのは素晴らしいし、学生にとっても早くからプロ意識が芽生えやすい。インターンという名のもとでただ働きをさせるような「ブラック企業」の正反対である。ただ、果たしてこれ、インターンシップなのか、優秀な学生に的を絞った一時雇用なのか、線引きが難しいところではある。

◆さて、わがFI部に、もうひとり女性が配属された。槙原ルミである(詳しくはこちらをご参照)。彼女はインターンの学生ではなく、れっきとした新入社員。しかし指導するのに手間がかかるというのはインターン並、いやそれ以上だ。新人が受け取る報酬というものは、たいていの場合、企業から見たら「先行投資」である。自分の労働、すなわち会社への貢献が、支払われる給料に見合うものになったのは入社何年目くらいの時からだろうか?インターンや新人を見て、ふとそんなことを考えた。あなたの場合は何年目でしたか?

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆