東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は大幅に3日続落となりました。280円安の33,058円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分弱で480円安の32,857円まで下落した後切り返すと9時40分過ぎに274円安の33,064円まで戻しました。しかし、節目の33,000円を超えたところでは上値が重く再び下げ幅を広げると後場に入り一段安となり、13時10分前に700円安の32,637円まで下落しました。その後、日経平均は下げ渋りましたが、引き続き軟調に推移すると結局565円安の32,773円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
神戸製鋼所(5406)が一時5.6%高となり年初来高値を更新しました。従来15-25%としていた配当性向の引き上げを検討中で、配当性向を高めた場合の2024年3月期の配当は年60円を超え、前期より20円以上の増配になる見通しと伝わったことから買いが優勢となりました。レオパレス21(8848)も7.9%高となりました。自己株式を除く発行済み株式総数の15.2%にあたる5000万株、100億円を上限とした大規模な自社株買いを発表したことから上げ幅を広げました。ジンズホールディングス(3046)も5.7%高となりました。スノーピーク(7816)と共同開発した眼鏡シリーズの販売が伸びたことに加え、サングラスやカラーレンズなどのオプション品も好調だったことなどで6月の既存店売上高が前年同月比で9.4%増となったことから大幅高となりました。人材派遣を手掛けるエスプール(2471)も18.1%上昇しストップ高となりました。上期の営業利益は前年同期比で4.6%減となりましたが、障がい者を雇用する企業に農園を貸し出すビジネスが伸びていることなどで第2四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で16.4%増と増益に転じたことから買いを集めました。
一方で半導体設計のソシオネクスト(6526)が22.8%下落しストップ安となりました。富士通(6702)とパナソニックホールディングス(6752)、日本政策投資銀行が保有する株式をすべて売り出すと発表したことから需給悪化を警戒した売りが膨らみました。また、昨日の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成する米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2%を超す下落となったことで他の半導体関連株も安く、なかでもルネサスエレクトロニクス(6723)が4.2%安となったほか、東京エレクトロン(8035)も3.9%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は565円安となりました。中国と欧州の経済指標の悪化を受け、世界景気の先行きを警戒した売りが出て昨日の米国市場が反落となったことから続落となりました。前場は25日移動平均線(32,909円)をサポートに下げ渋りました。しかし、後場に入って一段安になると25日移動平均線を明確に割り込んで取引を終えました。そのため調整局面入りを警戒する見方も出てきそうですが、その一方で3日間で1,000円近く下げたうえ、120%を超えていた東証プライム市場の騰落レシオも本日の下げで120%を下回ってきたことから明日以降の自律反発を期待する見方も出てきそうです。なお、小売り企業を中心とした2月決算銘柄の第1四半期決算発表が本格化しています。本日も引け後にはヨンドシーホールディングス(8008)やオンワードホールディングス(8016)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時15分には6月のADP全米雇用リポートが発表されるほか、21時30分には5月の米貿易収支と米新規失業保険申請件数が、そして23時には6月の米ISM非製造業景況感指数が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)