東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに反落となりました。165円安の33,068円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで315円安の32,918円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すと11時過ぎに83円安の33,151円まで戻しました。その後再び下げ幅を広げ節目の33,000円を割り込む場面もありました。しかし、33,000円を小幅に下回ったところで下げ渋ると14時30分過ぎに1円安の33,232円まで持ち直し結局45円安の33,189円で取引を終えています。一方で新興株は堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

高島屋(8233)が一時8.3%高となりました。堅調な高額消費やインバウンド(訪日外国人)の回復で第1四半期の営業利益が18年ぶりに最高益を更新したうえ、光熱費の上昇が想定より緩やかだったことなどで350億円とみていた通期の営業利益の見通しを375億円に上方修正したことから買いを集めました。また、高島屋の決算でインバウンド需要の回復が確認されたことからインバウンド関連銘柄の一角が高く、中古品販売のコメ兵ホールディングス(2780)が一時4.7%高、「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)も一時3.2%高となり、コメ兵ホールディングスは年初来高値を更新しています。さらに本日11時に第1四半期決算を発表した三陽商会(8011)も一時8.5%高となり年初来高値を更新しました。主力の百貨店での集客が改善したことなどで24億円とみていた通期の営業利益の見通しを27億円に引き上げたことから決算発表後に上げ幅を大きく広げる場面がありました。東証グロース市場では人工知能(AI)ソリューション事業を手掛けるヘッドウォータース(4011)が一時23.3%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。米エヌビディア[NVDA]のAIスタートアップ支援プログラム「NVIDIA Inception」のパートナー企業に認定されたと発表したことを材料視した買いが入りました。

一方で昨日の米国市場で半導体メモリーの米マイクロン・テクノロジー[MU]が中国による調達禁止措置の影響を懸念した売りで大幅安となった流れを受けてレーザーテック(6920)や東京エレクトロン(8035)が安く、レーザーテックが一時3.8%安、東京エレクトロンも一時2.2%安となりました。医療用ウエア大手のナガイレーベン(7447)も一時5.6%安となりました。2月に値上げを実施したものの、一部の案件で価格交渉に時間がかかり主力のナースウエアなどの販売がずれ込んでいることなどから第3四半期の営業利益が前年同期比で10.2%減となったことから売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は45円安となりました。昨日の米国市場が高安まちまちとなり新たな買い材料に乏しいなか、四半期末で機関投資家などのリバランス(資金の再配分)に絡んだ売りによる需給悪化が意識され反落となりました。しかし、この半年で日経平均は27.2%上昇し大きく水準を切り上げました。先々週まで10週連続で上昇するなど急ピッチでの上昇が続いただけにここにきて上値が重くなりつつありますが、来週から下期入りとなるなかで上昇の勢いを取り戻せるかがポイントとなりそうです。なお、今週から小売り企業を中心とした2月決算企業の第1四半期決算発表が本格化しています。本日も引け後にはアダストリア(2685)やDCMホールディングス(3050)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として重視する5月の米個人消費支出(PCE)物価指数が発表されるほか、22時45分には6月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が、そして23時には6月の米シガン大学消費者態度指数確報値が発表される予定です。さらに週明けの8時50分には日銀短観の発表が予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)