東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は3日続落となりました。134円安の32,647円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分余りで388円安の32,392円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すとプラスに転じ10時20分過ぎに103円高の32,884円まで上昇しました。しかし、その後伸び悩むと上げ幅を縮め先週末の終値を挟んで小幅にもみ合う展開となり結局82円安の32,698円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
半導体材料のJSR(4185)が21.6%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。23日時点での時価総額の約6700億円を上回る約1兆円で政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)がJSRを買収すると伝わったことで買いを集めました。他の半導体材料メーカーにも連想買いが波及し、信越化学工業(4063)が一時3.1%高、SUMCO(3436)が一時4.8%高、東京応化工業(4186)が一時16.1%高、大阪有機化学工業(4187)が一時14.8%高、トリケミカル研究所(4369)も一時9.8%高となり、東京応化工業と大阪有機化学工業は年初来高値を更新しています。本決算を発表したツルハホールディングス(3391)も一時4.4%高となり年初来高値を更新しました。プライベートブランド(PB)商品の販売強化に加え、オンラインを活用し処方箋の受付枚数も増やすことなどで2024年5月期の営業利益が前期比で3.6%増の472億円となる見通しを示し、市場予想を上回ったことから買いが優勢となりました。燃料商社のシナネンホールディングス(8132)も一時3.9%高となりました。無線給電技術を開発する米スタートアップのワイトリシティがシナネンホールディングスと組み日本の電気自動車(EV)充電器市場に参入すると伝わったことを材料視した買いが入りました。
また、東証スタンダード市場では湖北工業(6524)が一時8.8%高となりました。政府が2024年度にも民間と共同で日本の国内外を結ぶ海底ケーブルの増設に乗り出すと伝わったことから海底ケーブル用を含む光部品・デバイスで高いシェアを誇る湖北工業に物色の矛先が向かいました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は82円安となりました。6月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)が前月から低下し市場予想も下回ったことで景気悪化を懸念した売りが出て先週末の米国市場が下落となったことから続落となり、朝方には390円近く下げる場面もありました。しかし、押し目買いが入り売り一巡後に持ち直すと一時はプラスとなるなど下げ渋りました。そのため底堅さが強く意識されそうで、調整一巡への期待も出てきそうです。なお、今週から小売り企業を中心とした2月決算企業の第1四半期決算発表が徐々に本格化します。本日も引け後にはあさひ(3333)やしまむら(8227)などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)