米ドル/円 週間予想レンジ:140.00~145.00

メインストラテジー:様子見

・日銀介入の公算
・145円関門が肝心か
・一発介入でも効く

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週続伸し、144円関門手前まで上昇した。ここまでくると、日銀当局による口先介入も頻発し、145円関門の打診があれば、実際に介入する公算も大きいだろう。もっとも、実際に介入するまで円安の進行が続く可能性も大きいが、2022年と同様、介入があれば、トレンドの流れを修正してしまう恐れが大きく、そのため高値追いを避けたい。

基本的には、先週の続伸は円安の流れを踏襲した結果であった。先々週大幅に上昇し、142円関門手前まで打診した。142円関門前後は「日銀介入警告ライン」と思われ、それをさらに超えた先週の続伸は、ロング筋の「度胸試し」の他あるまい。

先々週は米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀会合の無風通過があったものの、日銀政策維持自体が円売りを加速させた側面が大きかった。日銀政策自体のサプライズはなかったが、欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続や英国のインフレ傾向に鑑み、金利差の拡大で円キャリトレードが刺激され、米金利据え置きでも、円安本流の一段加速で米ドル/円の上昇をもたらした、という先々週の見方自体は不変である。

さらに、先週英大幅利上げ決定、ポンド対円の一段高をもたらした。その半面、材料上のインパクト(英0.5利上げ自体がサプライズ)に比べ、円売りインパクトはむしろ逓減された感じもあった。クロス円でも高値警戒があったのではないかと推測される。

とはいえ、先週のコラムで解説した通りである。142円円関門のブレイクがあれば、さらなる上昇余地を拡大し、145円台まで大した抵抗は見つからず、テクニカル上の障害は少ない。従って、今週一旦145円関門の打診ありという見方は不変である。その後は介入の有無次第だが、介入の現実性が大きい以上、145円以上の高値トライは容易ではないだろう。

介入があった場合、一気に5、6円程度の反落があっても想定範囲内だろう。この意味合いにおいては、140円関門が逆に試され、また同関門維持の有無が焦点になってくるだろう。今週は介入の可能性に鑑み、テクニカル上の視点はむしろ二の次となり、アナリシスの詳細やサインに関する解釈が場合によっては逆効果をもたらす恐れがある。そのため、一旦様子見をおすすめしたい。

豪ドル/円 週間予想レンジ:93.00~96.50

メインストラテジー:様子見

・頭が重く一旦天井へ
・米ドル/円次第で反乱
・豪州事情は無視か

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週高値を一旦更新してから反落し、上昇一服を示唆した。もっとも、日足において一旦頭打ちのサインを鮮明化させたため、ここから調整する公算が大きいだろう。

日足では、6月19日に高値を更新してから反落し、6月20日の続落で頭の重さを示唆、そして、6月23日の陰線が「弱気リバーサル&アウトサイド」のサインと化し、一旦頭打ちを決定させた。そうなると、今週再度高値更新の可能性が大きく後退し、むしろ一段調整の余地が警戒されるだろう。

もっとも、先々週までの大幅続伸は、私のような一貫して豪ドル高/円安の進行をみてきた強気派の想定よりも強い値動きとなったため、ブルシナリオ自体が過熱していた側面も大きかった。先週の値動きに鑑み、ようやく一服したという感触がある。

それでも先週において続伸の見通しを維持したのには理由があった。要するに、いわゆる買われ過ぎなどの懸念が全くないとは言えなかったが、日銀政策の維持が当面円売りの安心感に繋がり、また「出遅れた」分、豪ドル対米ドル、対円ともにモメンタムを保つ可能性が大きいとみていた。中国景気と連動する思惑も強く、大型立て直し政策が期待され、また豪州の利上げ余地に鑑み、豪ドルにとっても支援材料になると見込んでいた。

さらに、先々週まで一貫して続伸してきた分、ショート筋の「踏み上げ」が推測され、これからも続くと思われる。6月15、16日の上昇幅拡大は、そのような「内部事情」もあったと推測され、6月に入ってから、事実上1本調子の上昇を果たしてきたのが大きな証拠となった。サインが効いてきたからこそ、高値続伸の勢いが加速された側面は無視できなかった。

しかし、先週の日足における弱気サインの連続に鑑み、目先の見方としては修正を強いられるだろう。なにしろ、円安の行き過ぎで日銀介入の現実性が高まる上、中国政策に関する失望感で豪ドルの軟調に繋がり、豪ドルのロング筋が利益確定を急いでいたと推測される。

従って、今週はテクニカル上でも頭の重さが確認された以上、後は日銀介入の有無に左右される。仮に日銀の介入がなくても、豪州事情(高いインフレ)が無視される可能性は大きく、豪ドル対米ドル、対円ともに失速する恐れがある。

さらに、実際に日銀の介入があった場合は、豪ドル/円にたちまち影響し、一気に93円関門をトライ、また同関門を割り込む可能性が大きいだろう。この意味合いにおいて、今週はテクニカル上における過剰解釈はむしろ害となるため、一旦様子を見てみたい。