米ドル/円 週間予想レンジ:141.00~145.00

メインストラテジー:押し目買い

・日銀政策は維持
・円売り本流加速へ
・介入ラインを試す

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週大幅上昇し、142円関門手前まで打診した。もっとも、142円関門前後は「日銀介入ライン」と思われるし、先週の大幅切り返しや高値更新、またロング筋の「度他試し」でもあり得る。とはいえ、大きな背景として米ドル買いよりも円売り、ユーロ/円の15年ぶり高値更新が象徴されたように、先週主要クロス円の急伸で円が一段と売られ、また円売りの加速が見られたわけだ。

米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀会合の無風通過があったものの、日銀政策維持自体が円売りを加速させた側面が大きい。日銀政策自体のサプライズはなかったが、欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続や英国のインフレ傾向に鑑み、金利差の拡大で円キャリトレードが刺激され、米金利据え置きでも、円安本流の一段加速で米ドル/円の上昇をもたらしたわけだ。

ここまでくると、もう142円関門をブレイクし、さらなる上昇余地を拡大するだろう。142円関門のブレイクがあれば、145円台まで大した抵抗は見つからず、テクニカル上の障害は少ないと思う。ある意味、先週の高値更新が「出遅れた」分、これから続伸しやすい側面もあるだろう。

5月最後の週はやや波乱し、週足では陰線で大引けしたものの、「スパイクロー」のサインを形成した。また138円半ばの支持を確認したところで、結局高値圏での保ち合いと解釈できたため、本来先々週の高値更新があっても自然な成り行きであった。従って、「出遅れた」分、これから一段と弾んでもおかしくないだろう。

もっとも、5月最終週に大幅続伸し、2022年11月以来の高値を更新、また140円の大台乗せに成功したところ、上値志向の強さを示した。140円大台乗せは、この前の米ドル全面高の流れもあってしばらく上値志向が強く、さらなる上値余地が拡大するとみていた。先々週までの軟調は、想定よりモメンタムの低下を暗示しているため、レンジ変動の先行を覚悟していた。

3月安値からの上昇波は、週足において連続2週間陰線引けがなかったため、先週は陽線で大引けできると予測していた。何しろ、米デフォルト懸念が消えたところで、日本株の大幅上昇(日経株価指数は5月世界株式トップのパフォーマンスを達成)にリンクした円安の進行が確認され、またこれからも継続されていくと思われたからだ。そのため、為替ヘッジ付きの日本株投資は、外資の視点からみれば円を売るのも当然の成り行きであり、本来先々週でも上値トライに繋がるはずだった。

しかし、先々週米金利の反落と連動した形で米ドル全体が反落し、米ドル/円の連動が鮮明化されたところで、やや頭が重くなったところ、本質的に速度調整を果たしたと言える。そのため、先週の上昇幅はごく正常の範囲に留まり、またこれから一段と拡大するのも自然な成り行きだろう。6月16日の大陽線、高値圏にて強気サインを再点灯しただけに、保ち合い局面から離脱し、上値志向の再強化を示唆している。

豪ドル/円 週間予想レンジ:96.00~99.50

メインストラテジー:押し目買い

・大幅続伸でさらなる高値余地を拡大
・97円台打診自体が強気サイン
・100円心理大台も見え始める

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週大幅続伸し、先々週続伸よりさらに上昇幅を拡大、4円に近い値幅をもって上昇加速を示唆した。ここまでくると、私のような一貫して豪ドル高/円安の進行をみてきた強気派の想定よりも強い値動きとなったため、ブルシナリオの一段過熱を覚悟しておきたい。

もちろん、いわゆる買われ過ぎなどの懸念が全くないとは言えないが、日銀政策の維持が当面円売りの安心感に繋がり、また「出遅れた」分、豪ドル対米ドル、対円ともにモメンタムを保つ可能性が大きい。中国景気と連動する思惑も強く、大型立て直し政策がリリースされた分、豪ドルにとっても支援材料になったに違いない。

先々週上放れの基調を再確認し、また再加速したことも大きかっただろう。日足では、先週一貫して続伸してきた分、ショート筋の「踏み上げ」が推測され、これからも続くと思われる。6月15、16日の上昇幅拡大は、そのような「内部事情」もあったのではないかと推測できる。

6月に入ってから、事実上1本調子の上昇を果たしてきた。以前から繰り返し解説してきたテクニカル上の原因が大きく、同解釈が正しく、またサインが効いてきたからこそ、高値続伸の勢いが加速された側面は無視できない。

つまる所、5月2日の罫線は典型的な「スパイクハイ」のサインだったが、同サインの「否定」、即ち高値突破があれば、同サインを「ダマシ」的な存在とみなし、これからの一段上昇を暗示、強気変動の一環と解釈できたことは大正解であった。6月に入ってからの上放れは大きな強気サインを点灯した分、先週の続伸は一見して「行き過ぎた」かもしれないが、むしろまだ途中の可能性が大きい。

93円関門の打診やブレイクがあっても単純に通過点に過ぎない。すでに94円関門のブレイクもみられたため95円関門はもちろん、97円台やその上の高値への道筋も示してくれた。しかし、先週一気に同大台を達成したこともまたやや意外であり、今週の値幅が想定より限定される可能性もある。

3月安値からの上昇波は「上昇トライアングル」とみなされ、また5月2日のサインがあっただけに、やっと上放れできたところでショート筋の総撤退やロング筋の追撃が先週の値動きをもって一段と確認された以上、ここからはいわゆる「元ショート派の途転」もあり得るだろう。そのため、徹底したトレンド・フォローをしていきたい。

もちろん、速度調整も想定される。しかし、あくまで高値圏での調整であることを再度強調しておきたい。大分鍛錬してから大幅に上放れしてきただけに、値ごろ感の判定、または反転の想定は性急である上、客観性を持たない。今週も強気スタンスで臨みたい。