東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は5日ぶりに小幅に反落となりました。8円安の33,493円で寄り付いた日経平均は9時10分過ぎに116円安となる一方で、10時過ぎに157円高となるなど一進一退の展開が続きましたが、円安を受けて徐々に買いが優勢になると後場に入り12時40分前には264円高の33,767円まで上昇しました。しかし、その後、伸び悩むと上げ幅を縮め14時40分過ぎにマイナスに転じました。結局、日経平均は16円安の33,485円で取引を終えています。こうしたなか新興株も軟調で東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
三井ハイテック(6966)が一時7.8%高となり年初来高値を更新しました。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の駆動部分に使われる「モーターコア」の販売などが好調で電機部品事業が増収増益となったことで上げ幅を広げる場面がありました。しかし、電子部品事業が苦戦したことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で42.1%減となったこともあり朝方の買い一巡後に上げ幅を縮めると0.3%安で取引を終えています。エイチ・アイ・エス(9603)も6.1%高となりました。上期の営業損益は33億円を超す赤字となりましたが、第2四半期3ヶ月間の営業損益が旅行需要の回復でわずかながら黒字となったことから大幅高となりました。
また、昨日の米国市場で生成AI(人工知能)向けの半導体への期待からアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)やエヌビディア(NVDA)が買われた流れを受けて日本市場でも半導体製造装置関連銘柄が高く、アドバンテスト(6857)が一時4.8%高、ディスコ(6146)も一時4.6%高となり揃って上場来高値を更新したほか、東京エレクトロン(8035)が一時2.8%高、SCREENホールディングス(7735)も一時3.8%高となりました。さらに投資判断や目標株価の引き上げを受けて年初来高値を更新したのが東急不動産ホールディングス(3289)やクボタ(6326)で、東急不動産ホールディングスが一時3.8%高、クボタも一時4.2%高となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は16円安となりました。昨日の米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均が米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内2回の利上げが示唆されたことから利上げの長期化を警戒した売りが出て反落となった一方で、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数はハイテク株の一角が買われたことから続伸となりました。こうしたなか日経平均は一進一退でのスタートとなりましたが、141円台前半まで円安が進んだことで徐々に買いが優勢になると後場寄り後まもなくして264円高まで上げ幅を広げました。しかし、その後、高値警戒感から利益確定の売りが出て伸び悩むとマイナスに転じました。小幅な下げに止まったことから地合いは引き続き堅調だといえますが、上昇スピードが速いだけに一旦は上値が重くなる可能性もありそうです。
なお、日本時間の21時15分には欧州中央銀行(ECB)理事会の結果が発表されるほか、21時30分には米新規失業保険申請件数や6月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数、6月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月の米小売売上高、5月の米輸出入物価指数が、そして22時15分には5月の米鉱工業生産指数と設備稼働率が発表される予定です。また、金融政策に変更はないとみられていますが、明日は昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果が発表される予定で注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)