【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 33,979.33  ▼232.79 (6/14)
NASDAQ: 13,626.48  △53.16 (6/14)

1.概況

米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均はFOMC で年内2回の利上げが示唆されたことから利上げの長期化を警戒した売りが出て7日ぶりに反落となりましたが、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数はハイテク株の一角が買われたことで5日続伸となりました。167ドル安でスタートしたダウ平均は昼前に60ドル安まで戻す場面もありました。しかし、FOMCの結果発表を午後に控え様子見となるなか上値は重く引き続き軟調に推移すると結果発表を受けて急速に下げ幅を広げました。一時は428ドル安まで下落したダウ平均は一旦140ドル安程度まで持ち直す場面もありましたが、引けにかけて再び下げ幅を広げると結局232ドル安の33,979ドルで取引を終えています。一方でS&P500株価指数が3ポイント高の4,372ポイントとなったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も53ポイント高の13,626ポイントとなっています。

2.経済指標等

米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送り政策金利の据え置きを11会合ぶりに決めました。また、参加者による政策金利見通しで2023年末の中央値は5.625%と前回の5.125%から引き上げられました。そのためFRBは2023年末に向け0.25%の利上げを最低2回見込んでいることになります。さらに5月の米卸売物価指数(PPI)は前年同月比1.1%上昇となりました。伸び率は2020年12月以来2年5ヶ月ぶりの小ささとなり市場予想も下回っています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が下げ、ヘルスケアとエネルギーが1%以上下落しました。一方で情報技術や生活必需品など4業種が上げ、情報技術は1%以上上昇しています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄ではユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が経済正常化に伴って高齢者の手術件数が回復しており保険金支払いが増加するとの見通しを示したことから6%を超える下落となり、ダウ平均を1銘柄で200ドル余り押し下げました。一方でナイキ(NKE)が5%を上回る上昇となり、インテル(INTC)も5%近く上げています。ダウ平均構成銘柄以外では、半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が生成AI(人工知能)向けの半導体を2023年後半に投入することを発表したことで2%を超える上昇となりました。また、生成AI向け半導体で高いシェアを握るエヌビディア(NVDA)も買われ5%近く上げています。

5.為替・金利等

長期金利は0.02%低い3.79%となりました。ドル円は140円近辺で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場が高安まちまちとなり材料になりにくいなか昨日までの堅調な地合いを引き継いで上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか短期的な過熱感が強まっていることから日経平均が一日を通して堅調さを維持できるかがポイントとなりそうです。また、本日は日本時間の11時に5月の中国鉱工業生産や5月の中国小売売上高など中国で数多くの経済指標が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)