「押し目待ちに押し目なし」を地でいくような強気相場にようやく押し目らしい押し目が入った。6月のメジャーSQを控えた先週の水曜・木曜の2日間で日経平均は860円余りも下落した。「初押しは買い」‐相場格言にはそうある。果たして今回はどうだろう。SQ当日の金曜には600円超の大幅反発となり3万2000円台を回復、あっさりと下げた分の7割方を埋め戻した。ここまでのところ、「初押しは買い」で正解だったようである。

考えてみれば、日本株の再評価が根底にあって買われてきたこの相場が、そう簡単に方向転換する道理もない。今回の下げは、メジャーSQという大きな需給イベントが絶好の調整タイミングであると多くの市場関係者の思惑が一致した結果であろう。ファンダメンタルズに変化はなく、単なるポジション調整による一時的な下押しと見ていいだろう。つまり、需給である。

その需給要因について言えば、日経平均ダブル・インバース(1357)の口数が依然として10億口以上あり、一向に減らない。つまり潜在的な買い戻し圧力が強力に存在するということであり、ここからもう一段、踏み上げ相場となる可能性がまだ残されているということである。

さて、今週は米国、欧州、日本の各国中央銀行による金融政策決定会合が開催される「中銀ウィーク」だ。6月13-14日が米国FOMCで、15日がECB定例理事会。15-16日の日銀金融政策決定会合と続く。当然、見送り機運が強くなり指数レベルでは一進一退の小動きだろう。しかし、利益確定売りと、売り方の買い戻しが交錯し、玉の入れ替えは激しく行われるだろう。

米連邦公開市場委員会(FOMC)では、今回利上げは見送られるというのが市場のコンセンサスだが、ドットチャートに注目が集まる。年内、あと何回の利上げをFOMCメンバーが見込んでいるのかによっては波乱もあり得るので要注意だ。

加えてFOMCの前に米国のCPIも発表になる(13日)。最近はインフレの低下速度が鈍化しており、こちらも警戒しておきたい。

なお、今回の日銀金融政策決定会合は現状維持で無風通過と見られている。

今週は重要指標の発表が目白押しだ。12日に日本の工作機械受注、13日に4-6月期法人企業景気予測調査、15日に機械受注、中国では鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資などが発表される。米国では小売売上高・鉱工業生産、ニューヨーク連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀景況指数、16日にミシガン大学消費者信頼感指数が発表される。

予想レンジは3万1500円~3万2800円とする。