米ドル/円 週間予想レンジ:140.00~143.70

メインストラテジー:押し目買い&高値追い

・140円大台を再度奪還
・上値志向をそのまま維持
・株高にリンクした円安進行

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週やや波乱し、週足では陰線で大引けしたものの、「スパイクロー」のサインを形成した。また138円半ばの支持を確認したところで、結局高値圏での保ち合いと解釈できるため、今後上値志向自体はそのまま維持されるとみている。

先々週に大幅続伸し、2022年11月以来の高値を更新、また140円大乗せに成功したところが大きかった。140円大台乗せは、米ドル全面高の流れもあってしばらく上値志向が強く、さらなる上値余地が拡大するとみていたため、先週一旦138円台へ調整したものの、終値が140円関門手前で回復、これから140円関門の再回復も自然ななりゆきなので、先々週の流れ自体は全く変わらないだろう。

もっとも、3月安値からの上昇波は、週足において連続2週間陰線引けがなかったため、今週は陽線で大引けできるだろう。なにしろ、強気上昇波にだからこそそうなると推測できるわけで、また先週の保ち合いはこれからの上昇波をより健全化させる、という視点も重要である。

この前波乱したことも重要なポイントだった。5月2日に一旦137円前半をトライしたものの、その後大幅反落し、133.50円の支持を確認した。米利上げ以降の米金利低下につられた形であった上、米デフォルトの可能性が囁かれたことで検証のポイントとなった。

米デフォルト懸念があっても、その現実性がほとんどないことも我々の想定通りであった。言ってみれば、米国は本格的なデフォルトを発生させるわけがなく、本格的な危機とは質が異なるため勘違いされてはいけない。そのため、同危機の回避はシナリオ通りの展開であり、全くサプライズではなかった。

皮肉にも米デフォルト懸念が浮上してきたからこそ、上昇波の連続性に貢献できたと言える。なにしろ米国債が売られて米金利の切り返しをもたらし、結果的に米ドルが買われる展開になった。米ドル/円は米ドル全体をリードする形の上昇となり、少なくとも5月いっぱいまで同ロジックが利いていたと思う。

そして、米デフォルト懸念が消えたところで、日本株の大幅上昇(日経株価指数は5月世界株式トップのパフォーマンスを達成)にリンクした円安の進行が確認され、またこれからも継続されていくだろう。為替ヘッジ付きの日本株投資は、外資の視点からみれば円を売っておくのも当然の選択であり、これからの上値トライに繋がるだろう。

先週6月2日の米雇用統計を受けた切り返しは調整が一巡したことを示唆した。ここから高値更新があれば、142円台の打診があっても通過点になりやすいだろう。一気に145円大台乗せは容易ではないとみるが、143円台後半への打診が十分想定され、場合によっては高値追いも一手かもしれない。

豪ドル/円 週間予想レンジ:92.00~96.00

メインストラテジー:押し目買い&高値追い

・上放れをついに確認
・92円大台維持も可能
・さらに高値を追う展開も

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週再度波乱したものの、高値で大引けし、ついに上放れのサインを灯した。92.51円の大引けは、これから92円関門の維持さえ可能と暗示しており、今週高値を追う展開もあり得るだろう。

そもそも先週一旦90.25円へ突っ込み、その後急反転したため、週足では典型的な「スパイクロー」のサインを点灯し、先々週と「強気リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯した。このようなサインの解釈を3月安値を起点とした上昇波の一環として行う場合、これからの強気変動をさらに強化したと思う。

週足では、5月第1週の値幅に「包まれる」形で大きな「インサイド」のサインが形成されてきたが、先週の反転で上放れを確認できたところも大きい。言ってみれば、ついに上放れしたので、上値を追うモメンタムの強化はこれからだ。

日足におけるサインの点検、そして5月3~5日、5月11日、また12日や15日の罫線の組み合わせは、各々「明けの明星」を形成し、また底の切り上げを果たしていたため、これからの高値トライは、必然的に5月2日の高値を突破していくとみている。

しかし、先週再度90円前半まで反落し、本来の同土台に脅威をもたらす存在であった。しかし、その後見事に切り返し、また大幅続伸で高値トライしていたため、一転して強気サインになったと解釈される。

というのは、5月2日の罫線は典型的な「スパイクハイ」のサインだったことを繰り返し指摘してきた。同サインの「否定」、即ち高値突破があれば、同サインを「ダマシ」的な存在とみなし、これからの一段上昇を暗示、強気変動の一環と解釈でき、先週の上放れは大きな強気サインと見なせる。

そのため、これから93円関門の打診やブレイクがあっても単純に通過点となってくるだろう。95円関門への道筋を受け、さらに96円台の打診に射程圏に収める。3月安値からの上昇波は「上昇トライアングル」とみなされ、また5月2日のサインがあっただけに、やっと上放れできたところでショート筋の総撤退やロング筋の追撃が想定され、一段と上値を追いやすいだろう。

今週こそ単純明快なスタンスで臨みたい、92円大台の維持を有力視し、押し目があれば躊躇なく押し目を拾い、高値更新があれば高値を敢えて追っていきたい。