【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 33,061.57  △153.30 (6/1)
NASDAQ: 13,100.98  △165.70 (6/1)

1.概況

米国市場は米下院が連邦政府の債務上限を停止する法案を可決したうえ、民主党のシューマー院内総務が上院での採決を急ぐ姿勢をみせたことから米債務上限問題への警戒感が和らぎ反発となりました。21ドル高でスタートしたダウ平均はマイナスに転じると堅調な雇用関連指標の発表を受け金融引き締めが長引くとの観測が強まり朝方に203ドル安まで下落しました。しかし、そこから切り返すとまもなくしてプラスとなり上げ幅を広げる展開となりました。取引終盤に259ドル高まで上昇したダウ平均は引けにかけてやや上げ幅を縮めましたが結局153ドル高の33,061ドルで取引を終え3日ぶりに反発となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も165ポイント高の13,100ポイントと反発となりました。

2.経済指標等

5月の米ISM製造業景況感指数は46.9と前月から低下し、市場予想をわずかに下回りました。一方で、5月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は27万8000人増となり市場予想を上回りました。1-3月期の米労働生産性指数改定値も年率換算で前期比2.1%低下しましたが市場予想を上回っています。また、4月の米建設支出は年率換算で前月比1.2%増となり市場予想を上回りました。さらに先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比2000件増の23万2000件となりましたが市場予想ほど悪化しませんでした。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が上げ、情報技術と素材、エネルギー、一般消費財・サービス、資本財・サービス、コミュニケーション・サービス、金融が1%以上上昇しました。一方で公益事業と生活必需品の2業種が下げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は30銘柄中23銘柄が上げました。そのなかでもアメリカン・エキスプレス(AXP)とビザ(V)が2%を超える上昇となっています。一方でセールスフォース(CRM)が4%を超える下落となり、アムジェン(AMGN)も3%近く下げました。ゴールドマン・サックス(GS)も2%以上下げています。ダウ平均構成銘柄以外では、主力ハイテク株が堅調でフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)が3%近く上げ、ネットフリックス(NFLX)とアマゾン・ドット・コム(AMZN)も2%近く上昇しました。また、半導体株の一角も高くエヌビディア(NVDA)が5%余り上げたほか、クアルコム(QCOM)も2%以上上昇しています。「カルバン・クライン」などのブランドを持つアパレルのPVH(PVH)は決算で5-7月期の1株利益の見通しが市場予想に届かなかったことで9%を上回る下落となっています。

5.為替・金利等

長期金利は0.05%低い3.59%となりました。こうしたなかドル円は円高となり138円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株高を受けて上昇してのスタートが予想されます。今晩に米雇用統計の発表を控え様子見となりやすいなかで日経平均が5月30日に付けたバブル崩壊後の高値(31,328円)上回って取引を終えることができるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)