東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反発となりました。1円安の30,886円で寄り付いた日経平均は直後に34円安の30,853円を付けた後プラスに転じると10時30分前に297円高の31,185円まで上昇しましたが、31,200円を前に伸び悩むと急速に上げ幅を縮め10時50分過ぎに再びマイナスとなりました。しかし、18円安の30,869円で下げ渋ると再び買いが優勢となりました。後場に入り14時40分前に268円高の31,156円まで上げ幅を広げた日経平均は結局260円高の31,148円で取引を終えています。一方で新興株は軟調で東証マザーズ指数が小幅に下落となっています。

2.個別銘柄等

トヨタ(7203)が一時3.4%高となりました。2025年に米国で稼働させる予定の電気自動車(EV)向け電池の工場に21億ドル(約2900億円)を追加投資し、ケンタッキー州の工場でEVの生産も始めると発表したことを好感した買いが入りました。ダイキン工業(6367)も一時3.4%高となりました。中期経営計画を発表し2025年度の営業利益の目標を4300億円から5000億円に上方修正したことなどから買いが優勢となりました。第1四半期決算を発表した半導体商社の菱洋エレクトロ(8068)も18.7%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。ITC・ソリューション分野が堅調に推移していることなどで36億円としていた通期の営業利益の見通しを43億円に上方修正したことから買いを集めました。新光電気工業(6967)も一時14.1%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。富士通(6702)が保有株の売却を検討している新光電気工業について米系投資ファンドのKKRやベイン・キャピタル、アポロ・グローバル・マネジメントのほか、政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)や大日本印刷などが応札に関心を持っていることが分かったと伝わったことで大きく上げ幅を広げました。また、富士通も一時9.5%高となり年初来高値を更新しています。

さらに目標株価の引き上げを受けて買われたのがシチズン時計(7762)やサンリオ(8136)で、シチズン時計が一時6.4%高となり年初来高値を更新したほか、サンリオも一時5.4%高となりました。一方で大平洋金属(5541)が投資判断と目標株価の引き下げを受けて一時5.5%安となり年初来安値を更新しています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は260円高となりました。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め継続を警戒した売りが出て昨日の米国市場が下落となったことから下げて始まりました。しかし、下げ渋り底堅さをみせると昨日の下落で過熱感が解消されていたこともあり買いが優勢となり節目の31,000円を上回り上げ幅を広げました。そのため地合いの堅調さが改めて意識されそうで、明日は5月30日に付けたバブル崩壊後の高値(31,328円)を上回って週の取引を終えることができるかがポイントとなりそうです。なお、日本時間の21時15分には5月のADP全米雇用リポートが発表されるほか、21時30分には米新規失業保険申請件数と1-3月期の米労働生産性指数改定値が、そして23時には5月の米ISM製造業景況感指数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)