東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は9日ぶりに反落となりました。158円高の31,245円で寄り付いた日経平均は取引開始から50分余りで265円高の31,352円まで上昇した後伸び悩み、大きく押すことなく高値圏で推移すると199円高の31,286円で前場を終えました。

170円高の31,257円でスタートした後場の日経平均は直後に上げ幅を縮めるとまもなくしてマイナスに転じ12時50分前に258円安の30,828円まで下落しました。しかし、その後下げ渋ると結局129円安の30,957円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

ヤマハ発動機(7272)が一時3.3%高となりました。アクティビスト(物言う株主)の英シルチェスター・インターナショナル・インベスターズが株を買い増し、保有比率が5.05%から6.08%に上がったことが関東財務局に提出した変更報告書で判明したことから株主還元の拡充などを経営陣に求める圧力を強めることを期待した買いが入りました。

日揮ホールディングス(1963)も一時3.9%高となりました。カネカ(4118)などと組み二酸化炭素を原料として自然分解するバイオプラスチックを2030年までにも量産すると伝わったことを材料視した買いが入りました。沖縄電力(9511)も一時5.2%高となり年初来高値を更新しました。未定としていた2024年3月期の業績予想を発表し前期に484億円の赤字だった営業損益が68億円の黒字に転じる見通しを示したことで買いが優勢となりました。

また、投資判断や目標株価の引き上げを受けて年初来高値を更新したのが日本製紙(3863)やリクルートホールディングス(6098)で、日本製紙が投資判断と目標株価の引き上げを受けて一時15.2%高となり、リクルートホールディングスも目標株価の引き上げを受けて一時4.5%高となりました。一方でコイル大手のスミダコーポレーション(6817)が16.2%安となりました。公募増資などで新株を発行すると発表したことで1株利益の希薄化を懸念した売りが出ました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は129円安となりました。一時138円台後半まで円安が進んだことや、昨日の米国市場でナスダック総合株価指数が反発したことから買いが先行しました。しかし、高値警戒感から手仕舞い売りが出て後場寄り直後に上げ幅を急速に縮めるとマイナスに転じました。

昨日までの8日間で2,000円近く上げ、25日移動平均線との乖離率も昨日時点で6.6%まで広がり短期的な過熱感が強まっていたことからすると必要なスピード調整だったといえそうですが、下げ渋ったことから堅調な地合いは引き続き維持しているといえそうです。なお、日本時間の22時45分には5月の米製造業PMI速報値が発表されるほか、23時には4月の米新築住宅販売件数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)