東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて4日続伸となりました。211円高の29,838円で寄り付いた日経平均は10時10分前に264円高の29,890円まで上昇した後11時10分過ぎに152円高の29,779円まで上げ幅を縮めました。しかし、そこから切り返し再び上げ幅を広げると後場に入り12時40分前に290円高の29,916円まで上昇しました。その後、日経平均は伸び悩みましたが、大きく押すことなく29,800円を上回って推移すると結局216円高の29,842円で取引を終え年初来高値を更新しています。一方で新興株は軟調で東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

本決算を発表した京セラ(6971)が一時3.4%高となり年初来高値を更新しました。スマホ向けの電子部品などが落ち込むなかで自動車向けが比較的好調に推移することなどから2024年3月期の営業利益が前期比で14.4%増となる見通しを示したことから上げ幅を広げる場面がありました。同じく本決算を発表した三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)も一時3.0%高となりました。資産運用や消費者金融などといった分野の貢献で2024年3月期の純利益が1兆3000億円となり、2年ぶりに最高益を更新する見通しを示したことで買いが優勢となりました。

また、昨日の米国市場で主要な半導体関連株で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大幅高となったことで日本市場でも半導体関連銘柄が高く、東京エレクトロン(8035)が4.2%高、レーザーテック(6920)が4.1%高、アドバンテスト(6857)が5.5%高、ディスコ(6146)も4.3%高となり、アドバンテストとディスコは年初来高値を更新しています。

さらに政府が「物価問題に関する関係閣僚会議」を開き電力大手7社が申請していた家庭向け電気料金の値上げ幅を確定する査定方針を了承したことから電力株が高く、なかでも東京電力ホールディングス(9501)が一時3.9%高となったほか、中国電力(9504)が一時3.3%高、北陸電力(9505)が一時5.8%高、東北電力(9506)が一時4.4%高、沖縄電力(9511)も一時5.6%高となり、揃って年初来高値を更新しています。

一方で本決算を発表したスズキ(7269)が5.8%安となりました。固定費や研究開発費の増加により2024年3月期の営業利益が前期比で5.9%減となる見通しを示したことで大幅安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は216円高となりました。米債務上限問題に対する過度な警戒感が後退したことで昨日の米国市場が反発したことから買いが優勢となり、連日での年初来高値更新となりました。

また、TOPIXは12ポイント高の2,127ポイントとなり2021年9月に付けたバブル崩壊後の戻り高値(2,118ポイント)を上回り1990年8月以来約33年ぶりの高値を付けました。そのため地合いの堅調さが改めて意識されそうで、日経平均の30,000円の大台回復への期待も高まりそうです。

なお、日本時間の21時30分には4月の米小売売上高が発表されるほか、22時15分には4月の米鉱工業生産指数と設備稼働率が発表される予定です。また、16日米国ではホーム・デポ(HD)の決算発表も予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)