政策金利は市場想定通り0.25%の利上げ、引き締め姿勢に変化

現地5月4日に米国のFOMC(連邦公開市場委員会、日本の金融政策決定会合に該当)が開催され、政策金利は市場想定通り0.25%の利上げにより5.0-5.25%となりました。

公表された声明文では、経済成長や労働市場が堅調であること、また銀行システムは健全で柔軟ながら、経済活動に重しとなる信用状況の引き締まりの影響が引き続き不透明であるとされています。また今後の政策決定について、十分に景気抑制的になるまで幾らかの追加策が必要との箇所が今回削除されており、引き締め姿勢に変化が感じられます。

会見では更に幾つかの点が示唆されました。「意味のある変更」とした文言削除については利上げをしないリスクと経済活動を減速させるリスクをバランスさせるための変更、との説明がありました。断続的な利上げにより景気抑制的な金利水準に近付いているとの見方が広まる中でタカ派姿勢が軟化した印象です。物価高への対応を強くコミットしながらも、追加利上げをめぐる決定にはデータ依存のアプローチをとると今後の柔軟な対応を示し、経済データに加え特に信用の引き締まり状況について注目しているようです。

現状は物価と労働市場に対する二重の責務に対してインフレリスクに大きく配慮しており、また金融引締めの効果が十分に発揮されるには時間がかかること、よって金利は十分抑制的な状態でしばらく維持する必要があると説明されました。なお、利上げの一時停止までは決定されておらず、追加利上げの可能性も排除されていません。

景気見通し、今後緩やかな景気後退を予測

会合の結果を受け、市場では利上げの終了を織り込むと共に年内3回の利下げを予想し始めました。FRBスタッフの景気見通しは今後緩やかな景気後退を予測しており、市場予想にも相応の景気減速が想定されていることでしょう。

今後はその景気悪化の度合いを確認する局面となります。FRBが望む緩やかな経済の調整とそれを受けた利下げによってソフトランディングが達成されるのか、昨今の金融機関の苦境など急速な利上げにより更なるひずみが生じることで経済が調整を強いられるのか。株式市場では前者が期待されていますが、短期的には債務上限問題も控え神経質な展開が続きそうです。どちらにしても経済や金利のピークは債券投資には好機に感じられます。