米ドル/円 週間予想レンジ:133.50~136.50

メインストラテジー:押し目買い

・日銀会合は無風通過の公算が大きい
・上値は一旦重くても下値は固い
・リスクオンなら上値模索へ

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週一旦135円関門を突破、その後反落して大引けし、週足では「スパイクハイ」のサインを形成した。ただし、続伸したことは十分評価できることであり、先週の見通しをそのまま維持することで、上値志向を再確認できる。今週の日銀会合を控え、様々な思惑が浮上しやすいが、日銀の政策維持が市場のコンセンサスとなっているため、無風通過になる公算が大きい。

先々週は再度切り返し、陽線で大引け、また133.79円の終値をもって再度上値志向を強めた。今週の続伸は、週足においてどの形式であれ、続伸自体が上昇波動の踏襲となる。言ってみれば、3月安値の133.32円を起点とした上昇波の継続が確認されたわけで、再度135円台以上の定着に繋がり、またさらなる上値余地を拡大するだろう。

もっとも、4月第1週は小幅変動に留まり、また陰線で大引けしたところで、本来さらなる保ち合いの延長があってもおかしくなかった。さらに、先々週米生産者物価指数(PPI)や消費者物価指数(CPI)といった経済指標のリリースで米ドルが一旦売られたこともあり、本来さらなる安値のトライがあっても許容範囲であった。しかし、先週米金利の安値更新がなかったことから、米ドル/円もドル指数の値動きと乖離し、結果的に再度切り返しを果たしたところは強気変動のサインと解釈され、先週の一旦135円関門突破に繋がったわけだ。

先週後半の反落は、一旦133.55円まで続いたが、133円台半ばや後半は重要な支持ゾーンとして意識される。何しろ、4月3日や12日の高値は133円台後半に集中し、従来の抵抗を示したため、133円台半ばが一転して支持ゾーンとなれば、構造上の強さを発揮できるとみている。その上で、市場センチメントの改善もこれからだと思う。

最近米経済指標の不芳や、景気後退の懸念がくすぶっているが、3月の銀行不安とは本質的に違う。もっとも、いわゆる「銀行危機」の懸念が行き過ぎであった。先々週から先週までの日米欧の株式市場の堅調さが証拠材料となり、いわゆる「リスクオフの円高」が生じにくいだろう。

そのうえ、米ドル/円に限って言えば、米金利動向により敏感に反応したが、米金利の底割れ回避や切り返しにつれ、米ドル/円は続伸しやすく、強含みの地合いにすでに復帰した。そのため、135円大台以上の定着やさらなる上値トライは時間の問題だとみている。

もっとも、3月中の急落は、想定より大きかった。米シリコンバレー(SVB)銀行破綻に続き、クレディ・スイス銀行の経営不安が一件落着と思われたが、リスクオフの動きが継続、米金利の続落と共に米ドル売り/円買いがさらに進み、一方通行の様子を強めた。129.65円の打診もあって、年初来の上昇幅の大半をさらに削り、3月8日の一旦高値更新自体が「ダマシ」だったことを証明したうえ、さらなる安値打診があってもおかしくなかった。このさらなる安値の打診が回避されたところで、全値戻しも視野に入ってくるだろう。

なにしろ、133円台以上に定着していること自体が強気のサインと解釈される。133円関門以上の定着があれば、3月24日の罫線が点灯したサインも明白になってきたため、同日「スパイクロー」の陰線をもって一旦2月10日安値を更新していたが、明らかに「フォールス・ブレイクアウト」、即ち「ダマシ」であったことが証明された。そのため、地合いの堅調を確認できる。この地合いの再確認、という意味合いの現状認識なので、今週も上値志向を確認できるだろう。日銀会合後の上値追いも想定しておきたい。

豪ドル/円 週間予想レンジ:89.00~91.50

メインストラテジー:押し目買い

・一旦90円後半の打診で地合い好転
・90円関門以上の定着の有無が焦点
・ただし、大型保ち合いはなお継続

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週続伸し、一旦90.82円をトライしたものの、大引けは89.75円と安く、週足では「スパイクハイ」のサインを形成した。ただし、先々週の切り返しを継承する形となり、また一旦92円関門に接近してきたところで、決して弱い値動きではなかった。そのため、従来の見方を維持していきたい。

先々週は切り返し、再度90円大台をトライした。そして、これから同大台回復の有無をもって明暗を分けると想定していた。結果としては先週終値をもって達成できなかったが、今週達成する可能性が増大しており、これからの強気変動に繋がる見通しが大きい。

もっとも、4月に入ってから4月4日に一旦90円関門をトライしてから反落し、陰線で大引けした。もちろん、頭の重い構造を再度示唆していたが、一旦90円関門のブレイクがあったこと自体を強気サインと見なすべきで、先々週の陽線引けは心強い証拠となった。

さらに、3月末から一旦大きく切り返し、この前の下落幅を取り戻したところが大きかった。3月の安値トライ自体が、「ダマシ」であった可能性は想定していたので、先々週の切り返しや先週再度91円関門手前までのトライは、証拠材料としての存在感が大きい。

なにしろ、3月に一旦86.06円の安値打診をもって「底割れ」の様子を呈していた。「底割れ」とは2022年12月安値の割り込みのことであるが、同基準で測るなら、そこから基調の一段悪化も覚悟していた。この意味合いにおいて、3月末からの切り返しは、「危機一髪」のところにて強気サインを点灯し、地合いのさらなる悪化を防いだ。

そして、4月第1週の陰線引け自体も米金利の安値更新や米ドル/円の反落と連動していたため仕方がなかったが、先々週の再度切り返しや先週の91円関門直前のトライを一連の上昇波における連鎖と理解できれば、これからの上値志向を強めるだろう。

3月の米銀行破綻の件は、豪ドルとの連動性は小さかったが、米ドル全体が反落した割には豪ドル対米ドルの浮上がみられず、逆に間接的とはいえ、円の急騰がみられたわけで、強気基調が大きく痛められた。従って、切り返し自体が一気に強気基調へ復帰できないことがむしろ当然の成り行きであった。この意味合いにおいて、なお大きなレンジ変動に留まるが、徐々に底が固められたと言える。

そのため、先週高値トライしてからの反落をレンジ変動の一環とみなし、上値トライがあっても連続ではないことを覚悟しておきたい。そもそも3月15日の大陰線が利いていたため、上値志向が完全に削られ、基調回復されるまでしばらく底値の再確認が必要であった。先週同日の高値を一旦ブレイクしたが、上に定着できず、一旦「ダマシ」のサインを点灯していた。同サインの否定があれば、一段と上値を追う段階に入るが、時間が少々かかるだろう。

そのため、これから90円関門以上に定着するものと思われる、先週と同様、早期に定着できない場合はなお紆余曲折を覚悟しておきたい。ただし、一旦同関門以上の定着があれば、想定より早くブル基調への転換もありえる。場合によっては一気に92円以上の高値トライもあり得るため、上値追いのスタンスがやや性急かもしれないが、サイン次第では可能性が増大してくる。あくまで強気スタンスで臨みたい。