過去2回は相場の転換点と一致
4月7日は米3月雇用統計発表が予定されている。この日、米国市場はイースターのグッドフライデーで株式・債券市場が休場となるため、本来なら薄商いに加えて手掛かり材料難から、為替相場も限定的な動きにとどまりそうなところだ。
ただ、最近は金融システム不安などの米景気への影響に注目が高まっていることから、全般的に米景気指標への相場の反応が大きくなっている。もともと、雇用統計の結果を受けて為替相場は大きく動く傾向があるが、その意味では逆にいつも以上に過敏な反応となる可能性にも注意が必要だろう。
そこで、雇用統計の発表を受けた米ドル/円の反応について、過去5回の雇用統計発表を調べてみたところ、いくつかの特徴が分かった。その中から特に、1)相場の転換点になりやすい、2)大きく動く、3)確率的には米ドル安・円高の反応が多かったといった3つの特徴について、具体的に見てみよう(図表参照)。
1)相場の転換点になりやすい
2月3日に発表された1月雇用統計では、注目のNFP(非農業部門雇用者数)が予想を大きく上回る「ポジティブ・サプライズ」となったことから、米ドル高・円安への反応となった。結果的には約1ヶ月で10円近い米ドル高・円安の始まりだった。
一方で、3月10日に発表された2月雇用統計でもNFPは予想より強い結果だったが、米ドル高の反応は一時的にとどまり、間もなく米ドル安に大きく動き出した。これは雇用統計発表の前日、シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻をきっかけに金融システム不安が浮上し、当時の為替相場も、雇用統計の結果より、金融システム不安を受けた米金利低下に反応したからと見られる。
この2つの例が代表するように、注目度の高い雇用統計発表は、相場の転換点となることが少なくなかった。
2)大きく動く
過去5回の雇用統計発表日の米ドル/円の値幅は1.8~2.8円で平均2.4円だった。要するに、雇用統計発表の日は2円前後に米ドル/円の値幅が拡大する傾向が続いてきたわけだ。これを参考にすると、仮に7日、131.7円を基準に目一杯米ドル安に動いたら130円割れまで下落し、逆に目一杯米ドル高へ動いたら134円近くまで上昇する計算だ。どちらにしても、テクニカルには当面の方向性を決める可能性が高そうだ。
3)米ドル安・円高の反応が多かった
図表のように、過去5回の雇用統計発表日の米ドル/円は4回が米ドル陰線で、米ドル陽線となったのは2月3日の1回しかなかった。これは、2022年11月以降、米ドル安・円高へトレンド転換した可能性が高いという影響もあるだろう。いずれにしても、多くの場合、雇用統計発表日の米ドル/円の方向に、しばらく動くことが多かった。その意味でも、7日の雇用統計発表を受けた米ドル/円の動きは注目されるところとなりそうだ。