先週末の米国株式市場でダウ平均は415ドル高と3日続伸し、4週間ぶりの高値で終えた。3月の月間騰落率はダウ平均が1.9%高、ナスダック総合株価指数が6.7%高。SVB破綻に端を発した金融システム不安で下値をさぐる場面もあったが、3月の月内で危機を乗り越え、上に行ったということである。

同じく先週末に発表された2月のPCE物価指数はコア指数が前月比0.3%の上昇と市場予想(0.4%)を下回り、1月の0.5%から鈍化した。インフレの着実な落ち着きは、FEDの利上げ打ち止め観測をさらに擁護するもので、米国株式相場の支援材料となった。

このように外部環境が改善するなかで名実ともに新年度相場入りする今週の日本株市場だが、先週末に見られた強い地合いが継続するだろう。東証のPBR改善要請を受けたバリュー株物色の流れは今後も一貫したテーマであり続けるし、そこに米国の利上げ打ち止めが近いという材料でグロース株物色も加わってくる。新年度入りすることで、高配当株物色はなくなるが、それでも複数の切り口から買いが入る循環物色で全体の水準を上げていくだろう。

今週の材料は週初に日銀短観の発表がある。大企業製造業の業況判断DIは海外減速懸念や原材料高で悪化が見込まれる一方、非製造業は国内でコロナの制約が薄れていることから改善が期待される。その他、月初につき米国で重要指標の発表が目白押しだ。ISM製造業景況指数(3日)、2月JOLTS求人件数、2月耐久財受注(4日)、3月ADP雇用統計、3月ISM非製造業景況指数(5日)、そして週末には3月雇用統計(7日)の発表がある。ちなみに7日はイースターのグッドフライデーで株式市場は休場となり、雇用統計を受けた株式市場の反応は確認できない。したがって今回の雇用統計は、重要性は変わらないものの、市場の緊張感はそれほど高まってはいない。

国内では2月決算の発表が本格化する。3日にはしまむら(8227)、4日にはアダストリア(2685)、スギHD(7649)、5日には西松屋(7545)、6日にはセブン&アイ(3382)、7日には安川電機(6506)が決算を発表する。安川電機の新年度の見通しは製造業の先行指標として注目を集めるだろう。

日経平均はテクニカル面でも良好な形だ。5日移動平均が25日移動平均を下から上に抜ける短期のゴールデンクロスを示現。週足を見ると26週移動平均が52週移動平均を上抜けて長期のゴールデンクロスを示現。このモメンタムを維持していけるか注目したい。

上述の通り、地合いは堅調だが、機関投資家による期初の益出しの売りや、先週までの期末要因の剥落など、需給のテクニカル的な要因で売りがかさむことには注意したい。

予想レンジは2万7500円~2万8600円とする。