東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて反発となりました。226円高の28,009円と節目の28,000円を上回って寄り付いた日経平均は取引開始から20分余りで341円高の28,124円まで上昇しました。その後伸び悩むと14時50分に203円高の27,986円まで上げ幅を縮めるなど28,000円を割り込む場面が何度かありました。しかし、28,000円を概ね上回って推移すると結局258円高の28,041円で取引を終えています。こうしたなか新興株も堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
三井物産(8031)も7.6%高となりました。2026年3月期まで3年間のキャッシュフロー(CF)に対する総還元性向を今の33%から引き上げる検討を始めたと伝わったことで買いを集めました。東京都競馬(9672)も14.4%高となりました。香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントが関東財務局に提出した大量保有報告書により東京都競馬の株式を8.38%保有していることが判明したことを材料視した買いが入りました。
カジュアル衣料のハニーズホールディングス(2792)も7.6%高となり昨年来高値を更新しました。第3四半期決算の営業利益が前年同期比で2.1倍となったことや、期末配当予想を従来の20円から25円に引き上げたことを好感した買いが入りました。
また、政府が4月上旬にも中国からの入国者を対象とする新型コロナウイルスの水際対策を緩和し、ワクチン接種が3回以上であれば出国前72時間以内の陰性証明を不要にすると伝わったことから百貨店株が高く、なかでもJ.フロント リテイリング(3086)が一時3.8%高、三越伊勢丹ホールディングス(3099)が一時3.9%高となったほか、復配を発表した松屋(8237)も一時3.5%高となりました。
さらに東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る上場企業に対し株価水準を引き上げるための具体策の開示を求めると伝わったことで低PBR銘柄の一角が買われました。なかでも大手鉄鋼株の上昇が目立ち、日本製鉄(5401)が3.9%高、JFEホールディングス(5411)が3.8%高、神戸製鋼所(5406)も4.2%高となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は258円高となりました。金融システム不安が収束しつつあるとの見方が広がり昨日の米国市場が続伸となったことで買いが優勢となりました。昨日に埋め切れなかった配当落ちを早速埋めたうえ、上げ幅を広げ節目の28,000円も回復しました。そのため地合いの堅調さが強く意識されそうで、来週から始まる新年度相場への期待が高まりそうです。なお、日本時間の21時30分には米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として重視する2月の米個人消費支出(PCE)物価指数が発表されるほか、22時45分には3月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が、そして23時には3月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値が発表される予定です。また。週明けの8時50分には3月の日銀短観の発表が予定されています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)