東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に続伸となりました。96円高の27,573円で寄り付いた日経平均は直後に126円高の27,603円まで上昇し高値を付けましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと上げ幅を縮め11時10分過ぎにマイナスに転じました。しかし、2円安の27,474円で下げ渋るとやや持ち直し20円高の27,497円で前場を終えました。5円安の27,471円でスタートした後場の日経平均は13時10分に44円安の27,432円まで下落し安値を付けましたが、前場同様に下げ渋ると持ち直し結局41円安の27,518円で取引を終えています。一方で新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

金融システム不安が後退し昨日の米国市場で大手金融株が買われた流れを受けて大手銀行株が高く、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が一時2.9%高、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が一時3.7%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)が一時3.9%高、三井住友トラスト・ホールディングス(8309)が一時3.2%高、りそなホールディングス(8308)も一時5.6%高となりました。米長期金利の上昇を受けて生保株も高く、第一生命ホールディングス(8750)が一時3.9%高、T&Dホールディングス(8795)も一時3.1%高となりました。原油先物価格が大幅高となったことで石油関連株も買われました。INPEX(1605)が一時3.9%高、石油資源開発(1662)が一時3.4%高、コスモエネルギーホールディングス(5021)も一時5.2%高となっています。豊田合成(7282)も一時4.1%高となりました。経済成長が続く南米で顧客のトヨタ自動車などの需要増に対応するためブラジルでエアバッグなどの生産を強化すると発表したことを好感した買いが入りました。一方で丸大食品(2288)が一時2.8%安となりました。原材料やエネルギー価格の高騰でコスト増となるなかで価格転嫁が遅れていることや、生産拠点の再編や不採算商品の統廃合などの構造改革を実施し特別損失を約27億円計上することなどから2023年3月期の最終損益の見通しを5億円の赤字から51億円の赤字に下方修正したことで売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は41円高となりました。経営破綻したシリコンバレーバンクの引受先が決まったことなどで金融システム不安が後退し昨日の米国市場でダウ平均が190ドル以上上昇したことで買いが優勢となり節目の27,500円を回復しました。しかし、25日移動平均線(27,598円)をわずかに上回ったところで上値が押さえられると小幅にマイナスとなるなど伸び悩みました。そのため25日移動平均線が上値抵抗線としてやや意識されそうです。なお、日本時間の23時にはバー米連邦準備理事会(FRB)副議長などが米上院銀行委員会の銀行監督に関する公聴会で証言を行う予定です。金融システム不安が燻るなかでの発言だけに注目を集めそうです。また、明日は3月末決算銘柄の権利付き最終売買日です。配当取りの買いに加え、引けにかけてパッシブファンドによる配当の再投資に絡む先物買いがみられるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)