ナスダック銀行株指数は下落相場が加速、調整拡大に警戒

今回の米国発の金融不安を通じて、ナスダック銀行株指数は月足の60ヶ月移動平均線を一気に下回る急落となり、2022年からの下落相場が加速する展開となっています。

【図表1】米銀行株は下値模索の可能性も?
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成

2020年にコロナショックで急落した際とパターンがよく似ています。当時も60ヶ月移動平均線からプラス30%超えの高値から調整が始まり、中段もみ合いのあと、マイナス30%乖離の水準まで売られる展開となりました。

2008年のリーマンショック時はマイナス30%乖離からの反発は一時的にとどまり、結果的にマイナス50%まで下げ幅を広げた経緯があります。

そういった点を踏まえると、現在3,110ポイント処を推移しているナスダック銀行株指数は、マイナス30%乖離の水準2,730ポイントあたりまで調整が拡大する可能性に警戒が必要となります。

日本の銀行株は依然として低迷期間が継続

では、日本の銀行株はどうでしょうか。図表2で、業種別銀行株指数の直近高値からの下落が相対的に軽微にとどまっているのは、リーマンショック後の低迷期間が依然として続いていて、長期的な視点で過熱感がないことが挙げられます。要するに、リーマンショック後に大きな上昇相場がないため、その反動が生じる余地が小さいということです。

【図表2】日本の銀行株は過熱圏から沈静化へ
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成

また、金融不安が発生する前からすでに下落基調にあったナスダック銀行株指数に対して、2021年から上昇が続いている銀行株指数の地合いが強いことが要因として挙げられます。そのため、短期的には欧米の金融不安の影響を受けると思われますが、近い将来は押し目買いの好機が到来することが考えられます。

銀行株指数は特に2022年からの強い上昇で60ヶ月移動平均線を上回り、24ヶ月移動平均線が60ヶ月移動平均線を上回る局面に変わりました。

【図表3】日本の銀行株は中期強気サイン点灯へ
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成

一般的に弱気相場は上から「60ヶ月移動平均線、24ヶ月移動平均線、株価」の順に並びますが、強気相場は上から「株価→24ヶ月移動平均線→60ヶ月移動平均線」の順に並ぶことになります。

足もとはその入れ替わりが生じている局面である可能性が高く、2014年当時と同様に、24ヶ月移動平均線に近づくタイミングが押し目買いの好機となり、上昇再開を通じて2015年につけた約243ポイントの戻り高値を目指す展開が想定できそうです。