モトリーフール米国本社– 2026年6月21日 投稿記事より
人工知能(AI)への投資は依然として勢いを増しており、コンピューティング向けハードウェアとソフトウェアの需要拡大に対応している企業は、力強い売上高と利益を発表しました。
直近で好調な決算を発表したヒューレット・パッカード・エンタープライズ[HPE]、マイクロン・テクノロジー[MU]、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]の3社は、いずれもウォール街の予想を上回りました。以下では各社の成長の原動力と、その勢いが長期投資家にとって魅力的な投資となり得るかどうかをみていきます。
ヒューレット・パッカード・エンタープライズ[HPE]、株価上昇余地があると考える理由
AIモデルの学習(トレーニング)や推論といった重要な処理を支えるため、AI向けに最適化されたデータセンターへの投資が急速に拡大しています。そうしたデータセンターは、数千個の半導体を接続しデータを送信するために、高速ネットワーク機器を必要としています。これが、企業向けサービスと技術インフラの大手であるヒューレット・パッカード・エンタープライズ[HPE](以下、HPE)にとって、新たな成長機会となっています。
直近四半期には需要の加速が鮮明になりました。売上高は前年同期比40%増と、その前の四半期の同18%増から拡大しました。好調な売上が利益を押し上げ、調整後1株当たり利益(EPS)は0.79ドルと、コンセンサス予想の0.53ドルを上回りました。受注額が2倍を超える伸びとなったことを受け、経営陣は2028年の利益目標を2年前倒しで達成できると見込んでいます。
HPEが最近買収した米国のネットワーク機器大手ジュニパーネット・ワークスは、同社の競争力強化につながると期待されています。ジュニパーが持つ高度なネットワーク技術やAIによる自動化機能はHPEのサーバーやストレージ事業を補完し、必要な技術を全てカバーしたAIインフラを提供できる体制を構築します。HPEの経営陣によれば、大口案件では既に、製品の一体販売が進んでいるとのことです。
こうした事業環境の追い風に加え、経営陣が通期見通しを上方修正したことを踏まえると、HPEには株価上昇余地がありそうです。株価は本稿執筆時点で予想PERが14倍の水準にあります。今後数年間で年率29%の利益成長を見込むコンセンサス予想に比べれば、割安であるように思われます。
マイクロン・テクノロジー[MU]、メモリ市場の注意点と今後
マイクロン・テクノロジー(以下、マイクロン)は2026年、AIワークロード向けの深刻なメモリ半導体不足によって、株価が最も好調な銘柄の一つです。歴史的にメモリ半導体の需要は、景気循環の影響を大きく受けてきました。しかし、投資家の間では、AIの普及によってより持続的な長期成長が実現するとの期待が高まっています。
2026年2月までの同社の四半期決算では、売上高が前年同期比ほぼ3倍の240億ドルに拡大しました。DRAM、NAND、HBM(高帯域幅メモリ)を含むすべてのメモリー製品で、需要は旺盛でした。販売価格が急上昇したことにより、1株当たり利益は12.20ドルに増加し、アナリスト予想の9ドルを上回りました。
メモリ市場は競争が激しく、韓国のサムスン電子やSKハイニックスでも、メモリ製品の需要は増大しています。しかし、マイクロンは、データセンター向けストレージ市場において4年連続でシェアを拡大しています。さらに、消費者向けデバイスに組み込まれたオンデバイスAI処理など、複数の市場でメモリー需要はとどまるところを知りません。そのため、経営陣は今後数年間にわたる成長見通しに強い自信を示しています。
とはいえ、株価が上昇すればするほど、筆者はマイクロン株をより慎重に判断したほうがよいと考えています。本稿執筆時点の予想PERは17倍と、半導体大手エヌビディア[NVDA]のバリュエーションとほぼ同じです。しかし、メモリー市場は依然として景気循環の影響を受けやすく、生産能力の増強、あるいはAIインフラ投資の減速が起きれば、マイクロンの利益や株価に下押し圧力がかかる可能性があります。足元のバリュエーション水準では、より安定した競争優位性を持つエヌビディアや台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)[TSM]を選択肢として考えたほうがよいと思っています。
パランティア・テクノロジーズ[PLTR]、競争優位性が今後の方向性を左右
パランティア・テクノロジーズ(以下、パランティア)は、企業や政府向けのAIソフトウェア・プラットフォームを提供する高成長企業です。同社は顧客企業が保有するデータや業務フローを基に、企業活動の全体像をデジタル上で再現します。企業はデータを同社のAIプラットフォーム(AIP)とシームレスに統合することで、コスト削減や業務効率改善のポイントを効果的に把握することが可能になります。
パランティアが顧客にもたらす価値は、決算結果に表れています。第1四半期の売上高は前年同期比85%増の16.3億ドルと、コンセンサス予想の15.4億ドルを上回りました。これは、パランティアが上場して以来、最も高い伸び率です。
顧客数も順調に拡大しており、同社は四半期末時点で、前年同期比31%増となる1,007件の顧客を抱えています。増収率に対して顧客数の増加率は小さく、このことは既存顧客がパランティア向けに支出を増やしていることを示しています。そのため、同社の競争優位性はさらに強化され、顧客がパランティアを業務に組み込めば組み込むほど、他社サービスへ乗り換えるハードルも高くなります。
また、パランティアの収益性は高く、利益率は44%に達しています。それにもかかわらず、成長ストーリーはまだ序盤にあると考えられています。これが、本稿執筆時点で予想PERが89倍という高評価を支える理由です。確かに株価は割高な水準ですが、現在の成長ペースや、今後数年間で年率51%の利益成長を見込むコンセンサス予想とは整合的です。もし同社がこうした予想通りに成長できれば、株価は引き続き、アウトパフォームする可能性があります。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者John Ballardは、エヌビディア、パランティア・テクノロジーズの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、マイクロン・テクノロジー、エヌビディア、パランティア・テクノロジーズ、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリングの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。
