「ウォーシュ・ショック」で米利上げの早期化や連続化の見方に

米金融政策を反映する米2年債利回りは、6月17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降一段と上昇、政策金利のFFレート誘導目標上限の3.75%からの上ぶれ幅が0.5%近くに拡大してきた(図表1参照)。米2年債利回りは、FOMC前からFFレート上限目標を0.25%以上上回り、1回の利上げを織り込む動きとなっていたが、FOMC後はその利上げの早期化や「0.25%×2回」とした連続利上げを織り込む動きが広がった。

【図表1】米2年債利回り差とFFレート(2020年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

この背景には、今回がFOMC初参加となったウォーシュ新FRB議長が予想以上の金融引き締め支持、いわゆる「タカ派」との見方が広がったことが大きかっただろう。「ウォーシュ・ショック」の米金利上昇ということになるが、ではこの先も米ドル買いを継続させることになるのだろうか。

過去最高規模に拡大した可能性のある米ドル買い越し

注目されるのは、すでに米ドルはかなりの「買われ過ぎ」になっている可能性があるということ。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションから試算)は、FOMCが行われる前日の6月16日時点で買い越しが32万枚に達していた(図表2参照)。経験的に米ドル買い越しの30万枚以上は「行き過ぎ」圏なので、FOMC前の時点ですでに米ドルは「買われ過ぎ」が懸念される状況となっていた可能性があった。

【図表2】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2000年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

そうした中で、6月17日のFOMCで「ウォーシュ・ショック」が起こり、米金利は一段と上昇した。これを受けて、米ドル買い越しもさらに拡大した可能性が高い。同統計における米ドル買い越しの最高は、2015年と2024年に記録した38万枚。FOMC前ですでに米ドル買い越しが32万枚に達していたことからすると、その後の「ウォーシュ・ショック」を受けて、すでに足下の米ドル買い越しは過去最高規模に達している可能性もあるだろう。

米ドル買い越しが、経験的な限界圏に達しているなら、それでも米金利上昇を手掛かりとした米ドル買いは続くだろうか。

2024年以来の行き過ぎた米ドル買い・円売り

6月16日時点で32万枚の米ドル買い越しの中で最も大きな割合を占めていたのは対円だった。米ドルに対する円売り越しは、16日時点で15万枚となっており、つまり米ドル買い越しの半分近くが対円となっていたわけだ(図表3参照)。その意味では、米利上げ見通し拡大という米ドル買い材料のある中でも、特に対円では米ドル買い余地が限られる可能性もありそうだ。

【図表3】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2005年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

米ドル買い越しが30万枚以上、一方円売り越しが15万枚以上と、米ドル「買われ過ぎ」と円「売られ過ぎ」が同時に起こったのが2024年4~7月だった。この局面では、日本の通貨当局による米ドル売り介入をきっかけに、7月以降円高への急転換となった。それは、行き過ぎた米ドル買い・円売りの反動の影響も大きかったと考えられたが、最近も、その時以来の行き過ぎた米ドル買い・円売りの可能性がある点は注目される。