モトリーフール米国本社 – 2026年6月23日 投稿記事より
スペースXが63億ドルの契約をした、注目のAI新興企業リフレクションAIとは
スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)[SPCX](以下スペースX)は引き続き注目を集めています。イーロン・マスク氏が率いるロケット、衛星、人工知能(AI)事業を手掛ける同社は、AIスタートアップのリフレクションAI(Reflection AI、未公開)と63億ドル規模の契約を締結しました。
この契約により、リフレクションAIは米テネシー州にあるスペースXの「Colossus」データセンターから、AI向けハードウェアおよびソフトウェアの処理能力を借り受けることになります。
CNBCの報道によると、リフレクションAIは2026年7月1日からスペースXに月額1億5000万ドルを支払い、高性能なエヌビディア[NVDA]のGB300チップを即座に利用できるようになります。契約開始から3ヶ月経過後は、いずれの当事者も90日前の通知を行うことで契約を解除できる仕組みとなっています。
この契約とリフレクションAIについて詳しくみていきましょう。そして、この63億ドルの契約がスペースXによる「AIの巨大企業を築く」というマスク氏の目標達成にどのように寄与するのかを検証してみましょう。
エヌビディアも出資するリフレクションAI、その成長ストーリーとは
リフレクションAIは、アルファベット[GOOGL]のAI研究開発部門であるGoogle DeepMindの元研究者2名によって、2024年に設立されたAIスタートアップです。同社は、誰もが利用できる「超知能(superintelligence)」の実現を目指し、オープンソースの基盤AIモデルを開発しています。同社は自社ウェブサイトで、そのアプローチはインターネットやLinux(オープンソースのOS)、そして現代コンピューティングの基盤を形成したその他のプロトコルを生み出した価値観を受け継ぐものだと説明しています。
「オープンであり続けることで、超知能の力が一部の企業や組織に独占されることを防ぎ、社会全体や開発者、そして世界中の夢を追い求める人々が次なる進歩の時代を築くための基盤となることを目指しています。」と同社は述べています。
2025年にエヌビディア[NVDA]から20億ドルの出資を受けたこのスタートアップは、急速に成長しています。2025年初頭の評価額はわずか5億4500万ドルでしたが、10月にはさらに20億ドルを調達し、企業価値は80億ドルに達しました。わずか数ヶ月で企業価値は15倍に拡大しました。
2026年3月には、リフレクションAIは250億ドルの評価額でさらに25億ドルの資金調達を目指していると報じられました。ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、この評価額は資金調達ラウンド実施前の同社の企業価値(プレマネー評価額)を反映しています。
また、リフレクションAIは韓国のコングロマリットである新世界グループ:[004170.KS]と協力し、同国内にデータセンターを建設してエヌビディア製チップを搭載したAIモデルを稼働させ、中国のAI企業と競争を視野に入れています。
同社は、OpenAIおよびアンソロピックに対抗するオープンソース企業を目指しています。なお、この2つのAIスタートアップはいずれも2026年、新規株式公開(IPO)を検討していると報じられています。
リフレクションAIとの契約はスペースXにとって有益なのか?
リフレクションAIとの契約は、スペースXが掲げるAI分野での大きな目標を実現するための数多くの契約の一つに過ぎません。スペースXは目論見書の中で、自社の獲得可能な最大市場規模(TAM)は28兆5000億ドルであり、そのうち26兆5000億ドルがAI関連であると説明しました。こうしたストーリーへの期待もあり、スペースXは2026年6月12日のIPOで過去最高となる857億ドルを調達しました。
しかし、AI事業は現時点ではまだ収益化の途上にあります。スペースXは、2025年にAI部門が63億5000万ドルの損失を計上したことを明らかにしており、その損失は2026年第1四半期だけで24億7000万ドルに達するなど、拡大しています。
経営陣は、IPOによる過去最高額の調達資金を一部活用しながら、AIインフラへの積極投資を進める方針をしめしています。上場から1週間も経たないうちに、スペースXはAIスタートアップ「Cursor」の親会社を600億ドル相当の株式で買収する契約を締結したと発表しました。
リフレクションAIの成長スピードを考えると、この比較的小規模な契約は、スペースXとリフレクションAIの間で今後締結される数多くの契約の第一歩となる可能性があります。もしこのスタートアップがOpenAIのChatGPTやアンソロピックの「Claude」に対抗できる有力な選択肢へと成長すれば、スペースXにとって継続的な収益源となり、AI事業の黒字化を後押しすることになるでしょう。
スペースXは、市場で最も魅力的な銘柄の一つです。その理由として、AIの世界的成長に対する期待、同社が見込む巨大な市場機会、そしてマスク氏の熱狂的な支持者層などが挙げられます。リフレクションAIとの今回の契約は、スペースXのAIに対する需要を裏付けるものであり、リフレクションAIが成長を続けるならば、さらに多くのビジネス機会につながる可能性があるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Patrick Sandersは、エヌビディアの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、アルファベットならびにエヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。
