東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて大幅反発となりました。352円高の27,298円で寄り付いた日経平均は直後に321円高の27,267円を付けた後9時10分過ぎに506円高の27,451円まで上昇しましたが、買い一巡後に伸び悩むと10時10分過ぎに346円高の27,929円まで上げ幅を縮めました。しかし、その後持ち直すと10時50分前に532円高の27,478円まで上昇し514円高の27,459円で前場を終えました。486円高の27,432円でスタートした後場の日経平均はさらに上げ幅を広げ14時過ぎに575円高の27,520円まで上昇しましたが、節目の27,500円を小幅に上回ったところで伸び悩むと27,500円を小幅に下回り結局520円高の27,466円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が2%近い上昇となっています。

2.個別銘柄等

金融システム不安が後退し昨日の米国市場で金融株が買われた流れを受けてメガバンクが高く三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が一時4.9%高、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が一時3.8%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)も一時3.9%高となりました。楽天グループ(4755)も5.8%高となりました。傘下の楽天銀行が4月中にも東京証券取引所に上場することが分かったと伝わったことで後場に上げ幅を大きく広げました。野村総合研究所(4307)も一時3.8%高となりました。北米やオーストラリアなどでシステム需要が伸び悩んだものの、国内の金融向けシステムで大型案件が寄与し2023年3月期の営業利益が前期比7%増の1140億円前後となり過去最高益を更新する見通しと伝わったことで買いが優勢となりました。セントラル硝子(4044)も3.6%高となりました。2024年にも電気自動車向けなどで実用化が期待される新型電池の中核部材に参入する伝わったことを材料視した買いが入りました。東京エレクトロン(8035)も一時2.7%高となりました。将来の半導体需要拡大を見込み2025年秋の稼働を目指し、岩手県奥州市に半導体製造装置を手がける新棟を建設すると発表したことで将来の収益拡大を期待した買いが入りました。

また、投資判断や目標株価の引き上げを受けてマネーフォワード(3994)やDMG森精機(6141)が上昇しました。目標株価の引き上げを受けてマネーフォワードが4.1%高となり、投資判断と目標株価の引き上げを受けてDMG森精機も4.0%高となりました。一方で新光電気工業(6967)が6.1%安となりました。パソコンやスマートフォンの需要減やデータセンター向けの投資抑制によって関連部品の売り上げが足元で想定を下回ることなどから通期の営業利益の見通しを930億円から750億円に下方修正したことで大幅安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は520円高となりました。経営難に陥っていたクレディ・スイス・グループをスイスの金融大手のUBSが買収することで合意したことや、イエレン米財務長官が銀行危機が悪化すれば預金をさらに保護する用意があると述べたことで金融システム不安が後退し米国市場でダウ平均が20日と昨日の2日間で700ドル近く上昇したことから大幅高となりました。朝方の買い一巡後に伸び悩む場面もあった日経平均ですが、寄り付き直後に付けた安値を下回ることなく切り返すと先週末と一昨日に上値を押さえられた200日移動平均線(27,363円)を超えて上げ幅を広げ節目の27,500円を回復する場面もありました。そのため下値への警戒感も一旦後退しそうです。なお、日本時間の23日午前3時に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表される予定です。金融システムの安定に配慮し政策金利をいったん据え置くとの見方がある一方で、0.25%の利上げを続けるとの見方もあることからマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)