【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 32,560.60 △316.02 (3/21)
NASDAQ: 11,860.11 △184.57 (3/21)
1.概況
20日の米国市場は経営難に陥っていたクレディ・スイス・グループをスイスの金融大手のUBSが買収することで合意したことから金融システム不安が後退するなか、金融不安が景気を冷やすとの見方から売られていた景気敏感株に買い戻しが入り反発となりました。10ドル高でスタートしたダウ平均は上げ幅を広げると昼過ぎに418ドル高まで上昇しましたが、伸び悩むと取引終盤には240ドル高程度まで一旦弱含みました。しかし、引けにかけて再び上げ幅を広げると結局382ドル高の32,244ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も45ポイント高の11,675ポイントとなっています。
昨日の米国市場はイエレン米財務長官が米国銀行協会のイベントで銀行危機が悪化すれば預金をさらに保護する用意があると述べたことで金融システム不安が一段と後退したことで続伸となりました。176ドル高でスタートしたダウ平均は直後に349ドル高まで上昇した後伸び悩むと午後に入って101ドル高まで上げ幅を縮めましたが、引けにかけて持ち直すと結局316ドル高の32,560ドルで取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も184ポイント高の11,860ポイントとなっています。
2.経済指標等
昨日発表された2月の米中古住宅販売件数は年率換算で前月比14.5%増の458万戸と13ヶ月ぶりに増加に転じ市場予想も上回りました。
3.業種別動向
20日の業種別S&P500株価指数は11業種全てが上げました。そのなかでもエネルギーと素材が2%以上上昇したほか、生活必需品と資本財・サービス、ヘルスケア、金融、不動産も1%以上上げています。
昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が上げ、エネルギーが3%を超える上昇となったほか、一般消費財・サービスと金融、コミュニケーション・サービスも2%以上上げています。一方で公益事業と不動産、生活必需品の3業種が下げ、公益事業は2%余り下落しています。
4.個別銘柄動向
20日の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中28銘柄が上げました。そのなかでもハネウェル・インターナショナル(HON)が3%近く上昇したほか、ダウ(DOW)とキャタピラー(CAT)、トラベラーズ(TRV)、も2%以上上げています。一方でマイクロソフト(MSFT)とインテル(INTC)が2%を超える下落となっています。ダウ平均構成銘柄以外では、経営破綻したシグネチャー・バンクの預金と資産の大半を引き受けると発表したニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)が事業基盤の強化を期待した買いで急伸し31%以上上げています。16日に米大手銀11行による資金支援を受けると発表したファースト・リパブリック・バンク(FRC)は新株発行などによる新たな資金調達を計画していると伝わったことで資本不足への懸念が改めて高まり47%余り下げています。
昨日の米国市場では金融システム不安への警戒感がさらに後退したことで金融株が高く、USバンコープ(USB)が9%近く上げたほか、モルガン・スタンレー(MS)とバンク・オブ・アメリカ(BAC)も3%以上上昇しました。JPモルガン・チェース(JPM)とゴールドマン・サックス(GS)、シティーグループ(C)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)も2%を超える上昇となっています。前日に急落したファースト・リパブリック・バンクも大手銀行が新たな救済策の検討に入ったこと伝わったことで急反発し30%近く上げています。また、主力ハイテク株が堅調で、欧州での2月の販売が好調だったテスラ(TSLA)が8%近く上昇し、グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)も3%以上上げました。アマゾン・ドット・コム(AMZN)も3%近く上昇し、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)も2%余り上げています。一方で米商務省が安全保障上の観点から米国内の半導体生産を増やす規制案を発表したことから中国事業の逆風を懸念した売りが出て半導体関連銘柄の一角が安く、半導体のインテル(INTC)が2%を超える下落となり、半導体製造装置のアプライドマテリアルズ(AMAT)も3%近く下げています。
5.為替・金利等
20日の長期金利は金融不安が後退したことで相対的に安全資産とされる米国債が売られたことから0.06%高い3.49%となりました。また、昨日の長期金利も金融不安が後退したことで0.12%高い3.61%となりました。ドル円は132円台半ば近辺で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国市場でダウ平均が20日と昨日の2日間で700ドル近く上げたことから上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか明日の未明に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控え様子見になりやすいなかで日経平均が200日移動平均線(20日時点で27,362円)を回復することができるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)